山水電気が破産手続きを開始したとの報を目にした。山水電気と言えば嘗てトリオ、パイオニアと共にオーディオ御三家として名を馳せ、アンプやJBLの輸入代理店として、オーディオマニアに絶大な人気があったメーカーだ。それが無くなるのは一抹の寂しさを感じる。
一体何故こんなにオーディオは廃れてしまったのか?原因は景気など色々考えられるが、私はズバリCDの出現だと思う。CDの登場により、簡単にノイズの無いいい音で(本当にいい音かどうかは別問題だが)聞けるようになった。この取り扱いが楽⇒お手軽に聞けるのがいい⇒大げさな装置は入らないし、邪魔だ⇒音楽が聞こえればそれでいい、と、どんどん安直な方向に流れてしまったのが原因では無いかと思う。
またパソコンの普及もいくらか関係しているかも知れない。パソコンや携帯端末の普及で、お手軽にネットから音楽配信が出来、いつでも何処でも音楽が聴ける状況になってしまったから、家で大型の装置でじっくり音楽を聴くと言うのは敬遠されたのだろう。
山水電気は時代を見る目がなかったのかも知れない。例えばバッファローという会社は今でこそパソコン周辺機器で有名なメーカーだが、嘗てはメルコというブランドでレコード・プレイヤーを作っていた。いち早くオーディオに見切りをつけ、パソコン業界に転身した。無論サンスイに限らず、どのオーディオメーカーも倒産、オーディオ部門の廃止の所が少なくない。しかし、サンスイには例えオーディオ部門をどんなに縮小しようと生き残って欲しかった。それほど山水製品には有る種の憧れが有った。
スピーカーの名器LEー8Tを組格子の箱に入れた物などは今でも絶大な人気があるし、JBLのスピーカーを広く日本に紹介した役割は多大だろう。
また一つオーディオの火が消えた事は寂しい。私たちのようなオジサン、いやジジイ世代しかオーディオには熱くならないのか?何処の電器屋さんに行ってもオーディオコーナーが有ったあの70年代のような熱気はもう戻らないのか?いや信じたい、また良質な音楽番組とオーディオブームが再現する事を。