Ｆさんがこの前うちへやって来てＳＰ盤を聞いていた時、
「あれ、この針、盤の底を擦ってるよ。」
と言うではないか。同席していたＦさんも同意した。そして
「たぶん針の太さがあっていないんだと思う。ちょっと見てみよう。ほら、やっぱり細いよ。これはたぶんモノラルＬＰ用だ。」
「ええー、そ、そんなあ。売ってくれたＮさんはＳＰ用と言ってたよ。」
「いや、あの人はソノボックスの針は持っていないはずだから、ＳＰ用のは無いよ。」
「あちゃー、道理でウェスタンの９Ａで鳴らしている割にはたいしたことないと思っていたんだよね。これじゃデンオンの１０２と大して変わりないもんね。」
「俺が2.75ミルのダイヤ針を持っているから。良かったら使ってみては？買うか買わないかはそれから決めればいいから。」
あんらー、何とまあＦさんは親切なんだろう。それに引き換えＮさんはLP用だなんて一言も言わなかったな。これじゃちょいとした詐欺ってもんだ。断っておきますがウェスタンの９Ａと言うカートリッジは決してお安くないカートリッジなのであります。それをＦさんはいとも簡単に
「あー、すかんぴんさんだったらン万円でいいよ。どうせまだ９Ａはいっぱい持っているし、それにその針は使ってなかったんだから。」
おおー、有り難や。涙がちょちょ切れますよ。
と言う訳で早くも今日Ｆさんが送ってくれたカートリッジが届いた。早速取り付けて使ってみる。最初は今迄のものと大差は無かった。しかしこの針は使っていないと針先の動きが悪くなるのだ。Ｆさんは長いこと使ってないから、ここはひたすらレコードを掛けまくり、針先の動きをよくするしか無い。ＳＰ盤３枚目辺りからちょっと調子が出てきた。明らかに前のカートリッジより音がクリアーで伸びる。出力も少し大きくなった。たまたま遊びに来ていたＭさんも
「こりゃあ、はっきりこっちがいいよ。」
と宣うでは無いか。こうなるともっと掛けなけりゃならん。（完全に嵌まってますな）
Ｍさんが帰ってからも聴きまくったが、やがて何だか78回転のスピードが落ちてきた。ええー、何で？どうもプーリーの接触具合がイマイチのようだ。でターンテーブルを外して調整してみる。だがまだ駄目だ。ところが33回転にしてＬＰを掛けたり、色々構っているうちに突然直った。う〜ん、わからんな。まあ、いいや、直ったんだから。結果オーライ。（お気楽な性格だねえ）
カートリッジの調子はどんどん上がってきて出力も最初から比べるとかなり大きくなった、音も活き活きしている。これですよ、これ。これがウェスタンて物じゃないですか。デンオンなんかに負けているウェスタンじゃ困るとですよ、フントに。それにしてもＮさんよ、もっとしっかりした物を売ってくれよ。これじゃあ前に買った物が丸っきりとは言わないまでも無駄になってしまうじゃないか、エエ、君ぃ。大体ねえ、嘘はいけませんよ、嘘は。
と言う訳で麻呂は深夜までＳＰ盤を聴きまくったぞよ。（誰が麻呂だ？）お陰で久しぶりに満足したわい、ホッホッホ。エー、ただし懐状態が益々厳しくなったので、こりゃあ早いとこオークションで何か売って金を作らにゃならん。まさに水戸黄門じゃないけど♪じーんせい、楽ありゃ苦もあーるさ♪ですな。
