小学生時代は学校から帰るとランドセルを放り出して学校のグラウンドか近くの浜へ遊びに行った。浜は俗称裏浜と言ってそこへ行けば必ず誰か遊びに来ていた。大抵は学校にいる時示し合わせているので、三角ベースボールかビー玉なんかをやるのだった。
そんな裏浜での楽しみの一つに地引き網が有った。当時はその地区はまだ漁師をやっている家が沢山有ったので、漁の船が何隻も浜に上げてあった。また網も浜に干されて、お年寄りが網の繕いなんかをしていた。
この浜で地引き網に加わるのが楽しかった。手伝うと魚がもらえるので子供ながらも一所懸命引っ張った。近所の老若男女総出で引っ張るこの地引き網はちょっとした見物だった。
こうして一杯お魚をもらった日はその日の食卓に早速載るのだった。私がお魚好きになったことは言うまでもない。今では潮の流れが変わり、沿岸工事が行われ、テトラポッドが沖合に設置されるようになってからは地引き網はすっかり行われなくなった。でもあの懐かしい光景はしっかりと脳裏に焼き付いているので有る。