あれはもう30年くらい前になるだろうか。深夜帰宅すると家の前の電線にフクロウが留まっていたのは。深夜私が帰宅するとそぼ降る夜の雨の中、外灯に照らされ、浮かび上がっていたそのシルエットは紛れもないフクロウの姿であった。「ホーホー」と静かにしかし力強く啼いていたその声にまだこの辺にもこんな自然が残っていたんだなと思わず嬉しくなってしまった。
だがその後家の前の山は宅地開発で崩され戸数300を超える住宅団地に一大変貌を遂げてしまう。当然フクロウはネズミ、蛇などの小動物を取る環境が無くなり来なくなってしまう。また車の数も著しく増えたから無理もない。
しかしここの所夜も更けると「ホーホー、ゴロスケボーコー」とまたフクロウの声を聞くようになった。私は最初その声を聞くと思わず外へ飛び出してその姿を探したものだ。残念ながら未だその姿は確認していないが、啼き声は毎晩私を楽しませてくれている。今やこの声を聞いてから床に就くのが習慣となってしまった。（笑）
でも何故戻って来てくれたんだろう。無論当時のフクロウと同じである筈がない。でもひょっとしたら子孫かもね。環境は良くなるどころか、益々車の数は増え、深夜でさえ時折けたたましい爆音を鳴らして通過して行く車さえあるというのに…。
それはともかく願わくば長くここに留まっていて欲しい。そして出来るなら今一度その姿を見てみたいものだ。運が良ければカメラに収めたい。この暖かくしかも落ち着きのある啼き声に今や虜になっているすかんぴんでした。
