すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

オリジナルはやっぱりいい!

 Yさん(注:オーディオ仲間のYさんではない)から戴いたレコードの中にグレン・ミラー・オーケストラがあった。私は映画のグレン・ミラー物語は勿論何度も見たし、レコードもある。しかし残念な事にこれはオリジナル・メンバーではなく、レイ・マッキンレー指揮のニュー・グレン・ミラー・オーケストラである。私はオリジナル・メンバーの物が欲しかったのだが、当時は廃盤で止む無く代替えで我慢したのである。

 しかし今回改めてオリジナル・メンバーの演奏を聴くともう全然演奏が違う。迫力が第一違う。メンバーのほとばしる熱気が伝わってくる。演奏はこうでなくちゃ。対してニュー・グレン・ミラー・オーケストラの方は只譜面をなぞっているだけの演奏に聞こえる。

 それにオリジナルは1940〜1941年のライブ演奏でモノラル録音であるにも拘わらず音が良い。勿論周波数レンジは狭いのだが、録音レベルが高く、とても40年代初頭の録音と思えない。ためにメンバーの演奏の迫力も一入(ひとしお)と言うわけだ。

 斯様に二番煎じバンドは概して演奏が面白くない。それはジャズ本来のアドリブ演奏がどうも二番煎じバンドになると、それさえも譜面化されているのではないかのような演奏に聞こえるからである。実際そうやっているところも有るのだろう。それでは演奏の迫力なんぞ伝わる筈がない。無論ビッグ・バンドだからある程度の譜面の制約はあるにせよだ。

 ずーっと以前に我が柏崎市にもこのグレン・ミラーオーケストラがやってきた。勿論名前だけのグレン・ミラーオーケストラである。でもそのネーム・バリューだけでお客は集まる。私も期待しなかったが、確か劵を何方かから戴いたので行ってみた。だが結果は丸っきり期待外れ。いくら生演奏とは言え、演奏そのものが全然つまらないなのだ。もしかすると地方都市だから、手抜きをされている所も有ったのかも知れない。しかしレコードの演奏を知るものにとっては、聴かない方が良かったと思える演奏なのである。それは先程やり玉に挙げたニュー・グレン・ミラー・オーケストラの演奏よりひどかったと書けば、おおよそ想像出来るだろう。

 このように日本へ出稼ぎに来る二番煎じバンドは名前だけで稼ぎに来ているのだから、大抵期待外れに終わる。いつぞやマーサ・エリントン率いるデューク・エリントン・オーケストラが来た時もそうであった。デュークの息子であるし、況してや自身もトランペット吹きであるのだから、その時も期待して行った。だがやはり同じ事。全盛期のエリントンの演奏を聴いている者には甚だ空疎に聞こえたのである。そして「ああ、来なければ良かった」と嘆き、帰宅してから耳直しにエリントンのレコードを掛けたものである。

 今回もオリジナル演奏を聴くと、やはりオリジナルは素晴らしいと思わざるを得ない。創始者の指揮でなければやはり駄目だ。もうこういう演奏を聴くとスタイルがどうの、録音年代がこうの、と言った点なぞ吹っ飛んでしまって、唯々演奏に引き込まれる。ああ、やっぱりオリジナルはエエなあ!