昨日遊びに来たばかりのＫさんがまた今日もやって来た。まあ、私に買って貰った米を引き取りに来たのも有る事とは思うが、どうせこの土曜日に蕎麦を食べに来る事になっているんだから、米はその時引き取ればいいはずだから、何かあるなと思ったら、開口一番
「パチンコで有り金すってしまった。金を貸してくれ。」
私はふ～んと言って余り良く聞こえなかった振りをした。その後Ｋさんは昨日我が家で聴いたレコードの話や、政治談義などをしていたが、やおらパソコンゲームを始めた。最近我が家のゲームに嵌まっているのは分かるが、いつもはこんな時間の無駄遣いはしない人なのだ。
再度「金を貸せ」が言いづらいのか、ゲームをやりながら何となくモジモジしている。やがて6時になるので帰って行った。あんらー、帰っちゃった。金は何とかなるのかな？ ま、いいか。オイラも懐は寂しいんだからね。大体オイラに金を借りようなんて窮者が貧者にたかるようなもんだろ。まるで「貧窮問答歌」の世界だ。
そもそも金のネー奴が博奕になんぞ手を出したらあかんのだよ。博奕というのは胴の太い方が勝つと昔から相場が決まっておるのだよ。その点ボクちゃんを見い。「金持ち喧嘩せず」でそんなものには絶対に手を出さないと決めておる。（いつから金持ちになったんだ？）
大体パチンコなんて勝つ時も有るかも知れないが、均してみれば負けになるに決まっている。そうでなければパチンコ屋は経営がなり立たないではないか。それを「俺だけはそんな事は無い」と思っているから、斯様な局面に遭遇する羽目になるんだよ。
金が欲しかったら地道に働けー。そのほうがうちでゴロゴロして暇をもてあましているよりずっといいぞ。「小人閑居して不善を為す」と言う言葉も有る。まさしく今のアンタだよ、Ｋさん。とは言え来年の7月になれば年金を貰えるご身分。今更働く気にはなれないのかも知れない。
それにやっと獲得した自由の身。また「凄まじき宮仕え」をする気は起きないのだろう。まあ、私も散々自由の身はいいぞとＫさんを煽ったりしたから、責任の一端は幾分かは感じている。（笑）
そんな事を考えながらＫさんが帰った後、夕飯の支度をしていたら、「ピンポ～ン。」チャイムが鳴ったので、オークションで落札したパソコンでも来たかと玄関に出ると、そこには何とまたＫさん。
「金を貸してくれ。」どうやらやっぱりどうでも金が無いと困るようで、引き返してきた物らしい。ちょっと意地悪をして気の毒な事をしたなと思う気持ちもあったから、今度は素直に貸してあげた。たった5千円で頭を下げるのは男としてみっともない。パチンコをやるなとは言わないけれど、もう少し懐にゆとりを持ってやりなよ、Ｋさん。
諺にも言うだろ。「ご利用は計画的に」って。（それ、サラ金のＣＭじゃねーか）
