すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

「教えて貰ってないから出来なくてもしょうがないじゃん」

 最近の若い方たちから表題のような言い訳を良く聞く。

「だって習ってないもん」

とよく言われるというのは現役で教師を務めるウチの出入り業者Kさんからも聞かされる。しかしこれに対する回答は私もKさんも同じで、有る年齢に達していたら、常識で知っていなければならない事を習ってないから知っていなくて当たり前だと居直るのは、己を馬鹿だと世間に晒しているような物だと同じだから恥を知れと言っている。

 

 昔の人は経済的な事情もあって中々上の学校へ行けなかった人も少なくなかったが、社会的な常識や学問も自分の体験を通してそれなりに身につけていた。それが今や手取り足取りして教えてあげなければ駄目だという。しかし、教えても半端な仕事しかしてこれない人が多い。これは何故かと考えてみた。

 

 一つには昔と違って自分が一家の生計を支えているという自覚が無いのかも知れない。昔は中学校を卒業すると直ぐに集団就職して、働いた人は決して少なくなかった。住み込みで働き、その乏しい収入の中から実家に仕送りをした物である。そうして自分の弟や妹たちの手助けに少しでもなればと思っていたのである。

 

 ところが今や一人っ子の家は少なくないし、親もそれなりの収入があるので子供の収入なんぞを当てにしていない。勢い、当の本人は自分で得たお金だから、どう使おうと自分の勝手だという考え方になる。また収入がそれなりに有れば、働き方もそれほど熱心になる道理が無い。本人はちゃんと言われた事をやっているのに、何で文句を言われなけりゃならんのだという気持ちになるので有ろう。

 

 だが、それでは駄目なのだよ。それでは単なる作業ロボットと同じ。いや、ロボットの方がサボるって事が無いし、不平を言わないだけ増しかも知れん。(笑)ここで私は昔、中学校の道徳の教科書に有った話を思い出す。もう50年以上も前の本に載っていた事だから、記憶も甚だ怪しいが、こんな話だったようだ。

 

 立志伝中の人物が社長を務める有る会社に勤めている同期入社のA君とB君。ところが何年かするとA君はどんどん出世して行き、B君は平社員のまま。見かねたB君の父親がその会社の社長に直訴に及んだ。

 「うちの子はA君と同じように同期で入社し、毎日休む事無く出社し、まじめに働き、ちゃんと勤めを果たしている。それなのになんでうちの子は出世出来ないんですか?」

 「確かにあなたのお子さんは仰るように休む事無く、まじめに働いています。しかし仕事というのは自分の仕事さえしてれば良いという物ではありません。自分の仕事をこなす一方で先輩の仕事を覚え、時間が空いたら後輩に自分の仕事を教えるようでは成りません。つまり三人分の働きをして初めて一人前と認められるのです。これに対してあなたのお子さんの働きぶりはあたかも仕事を言いつけられた子供がいやいや働いているように見えるのです。お気の毒ですがこれでは出世の道は開けません。」

とまあ、大体こんな内容では無かったかと記憶している。つまり今の子供はこの出世出来ない若者と同じで、イヤ、それ以下か、与えられた仕事さえ満足に出来ないのだから。それを指導の仕方が悪いと居直るのは如何な物か。

 

 確かに昔の徒弟制度のように新しく入った弟子に禄に技術指導もせず、技は先輩のやっているのを見て盗む物だと嘯き(うそぶき)、碌な給料も払わず、下働きだけにこき使うという悪習は問題有りだと思うが、自分では努力、勉強は一切せず、「教えて貰ってないから出来ない」では世間に通用しないだろう。

 

 最近の子供たちにこうした考えがはびこってきた背景には、両親の育て方、学校がそうした指導を行っていない事に原因があろう。ちゃんとした指導を教師が出来ないのには父兄たちからの文句が怖いというのも透けて見える。あー、嘆かわしい。そんな父兄たちにガツンと言ってやれるKさんみたいな硬派の教師はいないのか? まあ、同僚の教師を苛めたり、嫌がらせをしたりするような教師がいる昨今、こんな事を言うこちらが時代遅れなのか?