すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

アルテック(長いし、興味の有る方だけ読んで下せえ)

 オーディオメーカーアルテック・ランシングと言えばオーディオファンの方なら誰一人と知らぬ者ないメーカーだが、残念ながら今は無い。JBLやタンノイなどと一世を風靡したメーカーだが、栄枯盛衰、時の流れは残酷で時代の波に乗れなくて消えていったメーカーは少なくない。アルテックもその一つだろうが、有る時代を作ったのは確かだ。

 

 そして夭折したジャズミュージシャン同様、ある意味永らえなかったから、反ってその存在意義が光っているとも言える。ウェスタン・エレクトリック直系のメーカーとしてどれだけ私達を憧れさせてくれただろう。

 

 私がまだオーディオファン駆け出しの頃は良くアルテックの事を知らなくて、当時全盛を誇っていたJBLの方が身近な存在で、ジャズを聴くならこのメーカーのスピーカーで無くてはならないと思っていたものだ。実際私が最初に手に入れたスピーカーは4311と言う3ウェイのブックシェルフ・スピーカーで小型スタジオ・モニターとして使用されている物だった。パンチの効いた音で溌剌と鳴るそのスピーカーに甚く満足して聴いていた。そしていつかお金が貯まったら大型の物を手に入れたいと心中深く秘していた。

 

 ところがひょんな事から有る方(Sさんということにしておこう)と知り合いになることになり、その方の息子さんの家庭教師を引き受ける事になった。その方が偶然オーディオ好き、ジャズ好きで、いつも息子さんへの授業が終わり、お茶を戴くと、その時出る話は決まってオーディオやジャズの話だった。

 

 そして実際にレコードを鳴らしてくれて何やかやと随分教えて戴いたものだ。その時鳴らしていたスピーカーが604-8Gと言うアルテックのユニットを使用したスピーカーで、箱は自作だった。自作と言えどアルテックの620と言う箱の設計図を元にした物で、オリジナルそっくりの出来映えの物だった。

 

 その箱から聞こえる音は素晴らしいものだった。音の定位がもの凄く良く、音離れが良く、存在感のある音だった。何よりも低域が変にだぶつかず、軽く出て来るのが気に入った。JBLの大型スピーカーのもたっとした重い低音が余り好きで無かったから、すっかりこのスピーカーが好きになってしまった。以来その先の目標はJBLでは無く、アルテックのフロア型スピーカーを手に入れる事になってしまった。(笑)

 

 さあ、そうなると私の悪い癖で、狙いを付けるとどうでも欲しくなる。そして思い切って手に入れる決心をする。雑誌の「売ります・買いますコーナー」でアルテックのA7を買いますと応募したのだ。しかしA7と言えばアルテックの劇場用スピーカーで先の604とは違い、小さな部屋ではどうにもならないスピーカーなのだ。なれどどうせ買うならSさんと同じスピーカーでは意味が無い。どうせならアルテックを代表するスピーカーにしたかったのだ。

 

 しかしと言おうか、当然と言おうかA7は僅か8畳の部屋ではどうにも上手く鳴らなかった。Yさんからもアンプを作って貰い、色々試したが中々上手くは行かなかった。寧ろ友達から買ったジェンセンのM10と言うフィールド・スピーカー一発の方が余程良く鳴ったし、音が良く通るし、存在感があった。そんな訳で以来主役はこのスピーカーと成って、A7は憐れ、そこに有りながら禄に使ってもらえない存在に成っていったのである。

 

 所が運命というのは不思議なもので、中越沖地震で我が家が半壊に遭い、立て直す羽目になった。そこで頭を持ち上げてきたのがオーディオ部屋の事である。普通ならどうせ一人住まいだから、そんなに大きい部屋は要らないとなるところなのだが、いつかA7を大きい部屋で大音量で鳴らしてみたいと思っていた私は思い切ってリビング兼オーディオ・ルームとして20畳以上の部屋を画策した。それも天井の高い部屋をである。

 

 と言うのも以前あるお寺の本堂で聞かせて戴いた音が装置はそれ程たいしたことがないのに、朗々と鳴っていたのを覚えていたからである。ああ、やはり機械よりまず部屋だなとその時痛感したものだ。以来いつか家を建て直す時が来たらと思っていたが、まさかこんな形で立て直す事になろうとは、その時は夢にも思わなかったものだ。

 

 さて新築成った家の広い部屋にA7を持ち込んで鳴らしたら、これがビックリするほど音が良くなっていた。今迄聞いていたスピーカーと同じ物かと思うほど良く鳴るのである。Sさんの家で聞かせて戴いた音に負けないくらい、いやヴォーカルは口が大きくなるからさて置き、その他の器楽演奏はジャズ・スピリットを感じるくらい、上手く鳴るのだ。おお、やはりコイツは捨てなくて良かったわい。名器と言われるスピーカーが上手く鳴らないのは、鳴らし方が悪いのであって、決してそのスピーカーが悪いのではないと言う事が、この時は嫌というほどよく分かった。「もうあんなスピーカー、捨ててしまえよ」と言っていたコーさんもこれには目を見張った。(耳を疑うと言うべきか)

 

 以来改良を重ねてきた我が家のアルテックのスピーカーはかなりの物となったが、どう言う訳か、アルテック製品はスピーカーだけで、アンプは作って戴いた物や他メーカーの物ばかりだった。アルテックのスピーカーならアルテックのアンプで鳴らしてやらなけりゃあなとは思っていたが、そこは懐の具合もあって中々実現しなかったのである。しかしこの度親友のフーさんのお陰でアルテックのアンプを手に入れられる運びとなった。漸く良き相棒を迎えられる事になったのである。

 

 まあ、執念深く夢を追っていれば、いつかは実現すると言う事なのでしょうね。諦めたらそこで終わり。婿入りしてきたら、それはそれで音の調整がまた大変なのだが、それで苦労するのもまたオーディオの楽しみ。どうやらすっかりアルテックの音に魅せられて、もうこのスピーカーと心中ですね。288のフィールド・ドライバーも購入する予定なので、これからこのスピーカーがどう生まれ変わるか、今からワクワクしています。