別れと言っても友達が亡くなった訳では無い。私が彼に三行半を突きつけたのだ。いや、三行半と言うよりお付き合いお断り宣言で有る。きっかけはまあ何て言う事の無いのが原因だが、私の心の中で何とか繋がっていた糸がプッツンと切れたのだ。
それは花粉症が突然症状が出るのと似ている。つまりアレルギー物質が体内に徐々に蓄積され、有る時バケツの水が溢れるが如く症状が出るのだ。今回の私のプッツンもそれと似たようなものだろう。
歳を取ると気が長くなるかというと、どっこい然に非ず。寧ろ気が短くなる。若い頃は仕事に気を紛らわしたり、色んな事に気持ちを捕らわれるから、我慢が出来るのかも知れないが、年寄りは何せ暇で有る。あれこれ思いを巡らせて、どうしても我慢が出来なくなる。
今回の友人の一件は昔なら我慢出来たのかも知れないが、私は老い先短い身。今回我慢しているとこの先もずーっと我慢していねばならないような気がして、思い切って彼に告げた。彼が好きだ嫌いだと言うより、正直彼に振り回されるのに疲れたのである。
彼にしてみれば「俺がそんなに悪い事をしたか？」という思いがあるかも知れないが、私と彼とでは感じ方が違うし、年齢差もある。考え方の違いもある。無理に自分を相手に合わせるのはもう疲れた。自分の時間を彼に掻き回されたくない。そういう訳で勝手ながらお付き合いお断りを宣言させて戴いた。
長年連れ添った夫婦が別れるのはこんなものかという感じもした。長く付き合っていると、どこかですれ違う部分が出て来るのかも知れない。出会って三十数年。湯沢のＮさんよりちょいと長い付き合いだったが、止むを得まい。彼とは死ぬまで友人でいたかったが、私が彼について行けなくなってしまった。彼には私よりもっとウマの合う友人を見つけて貰いたいものだ。
