すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

カニと親父

 旧能生町へ買い物に行った姉からお土産に紅ズワイガニを何杯か戴いた。とても独りで一度には食べきれないので、少し食べて残りは冷凍しておいた。私みたいな年金暮らしのジジイは普段はカニなんてとてもじゃないが食卓には載らないので、久々のご馳走にありついた。姉上様々である。

 

 さてカニというと亡くなったオヤジ殿を思い出す。オヤジ殿は無類のカニ好きで、それさえ預けていれば無心で食べていた。そして鮹の如くきれ~いに食べ尽くすのだ。食べられるカニにしても、それだけ綺麗に食べてくれれば本望だろう。(笑)

 

 亡くなる何年か前、或るスーパーへ仕事に行った時、そこに店を出している魚屋さんが

ワタリガニの活きのいいのが3杯有るんだけど、どう?」

と言うので、どんな奴か見せてくれと言って見せて貰った。なるほどワタリガニのかなり大きい奴でまだ生きている。これは食べがいが有りそうだと思ったが、3杯は多いので、その中から大きい奴2杯を買った。

 

 家へ持って帰るとオヤジ殿が大層喜んだのは言うまでも無い。自ら寸胴鍋にカニ2杯を入れて茹でた。そして夕食時には他の物には目もくれず、カニにむしゃぶりついていた。(笑)

「ワタリって奴はこのカニ味噌がうんめえんだよなあ。それにしてもこのカニ、身がパンパンに詰まって凄く旨いなあ。生きはいいし。」

「まあ、まだ生きている奴を買ってきたからね。値段も張ったけど。」

 

 私はオヤジ殿の好物と分かっているから、自らはカニに手を出さなかった。そうしたらオヤジ殿はそのデカイ身の詰まったカニをペロリと2杯平らげたのである。私は苦笑いしながら流石やの~と感心した。これくらい旨そうに食べてくれれば、買ってきた張り合いが有る。もうそのオヤジ殿を喜ばす事は出来ないのが残念だが・・・。

 

 あ、そうだ。今度食べる時は足の一本も仏壇に供えよう。オヤジ殿、それで勘弁してくれ。お袋と仲良く分けて食べてくれ。(だったら二本お供えすりゃあいいじゃないの。ケチ!)

 

 まあ、私もカニは嫌いではないが、身をほじくり出すのが面倒なんだよね。だから一心不乱に身をほじっていると、どうしても無口になる。(笑)それに手がカニ臭くなるのには閉口する。だから食べた後は必ず石けんで手を洗う事にしている。

 

 余談だがもう十数年前になろうか。近所に新しくスーパーが開店して、開店記念に大売り出しを行った。その時の目玉が生アブラガニで確か一杯千円ほどの大安売りだったと思う。私とマーさんはそれぞれ一杯ずつ買って、我が家で茹でた。アブラガニは見たところタラバガニそっくりだから、とても食べ甲斐がある。

 

 だからカニ一杯で腹一杯になった。その時の旨さは今でも覚えている。甲羅に日本酒を注ぎカニ酒も堪能した。足の肉を取り出しやすいようにと、百円ショップでカニの殻を切る鋏もその時買った物だ。またあんなカニを食べたい物だが、近年はアブラガニがちっとも入ってこない。オヤジ殿が生きていたらあの時食べさせてあげられたのにと、今でも思い出す出来事であった。