すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

ドキッ!(マニアックな記事に付き、興味の無い人はすっ飛ばしてください)

 ヨーさんにプリアンプを改良して戴いてから、CDの音が力強くなり、アナログ・レコードを聴いているような感じになった事は以前に報告したが、こうなると期待して買ったCDでからきし根性の無い音を出していた物を掛けたくなった。

 

 それはテラーク・レーベルのチャイコフスキー作曲「大序曲1812年」である。実はこのLPも持ってはいるが、CDとは大違いで大迫力なのである。大砲の実音を入れて当時話題になったレコードである。別に曲も演奏も指揮者もどうって事のないレコードなのだが、録音の良さと大砲の衝撃音が余りにも凄く、このレコードを再生するにはトレース能力に優れたアームとカートリッジが必要と言われた物で有る。

 

 私は当時このレコードをSME3009アームとオーディオテクニカのAT33Eで何とか再生していた。件の大砲の音の所近くになると心臓の動悸が自分でも激しくなるのが分かった。(笑)それは果たしてここを針飛びせずに通過出来るかどうかと言う難所部分だからである。実際レコードの音溝部分を見ると、大砲の音の部分で激しく溝がうねっているのが分かるほどであった。

 

 こんなだからその大砲の音は凄まじく、これが当時のオーディオマニアの好奇心を甚く誘った物で有る。その大砲の音で普段はどんな大音量で掛けても決して震える事の無かったウーファーが激しく揺れた。まあ、これは一歩間違えるとスピーカー・ユニットを破壊しかけないエネルギーだった。しかしオーディオ的に凄いとは言えるが、音楽自体は何の大した事も無い曲であったし、当時音楽家黛敏郎氏などはチャイコフスキーは何でこんなこけ脅かしのくだらない曲を作ったのかと罵倒していた。

 

 オーディオ装置はあくまでも音楽を聴くための物で有るから、いい演奏をより音楽的に再生してくれる物でなければならぬ。だから私はトレース能力よりも音楽的感動をより味わせてくれるカートリッジの方へシフトしていった。それがオルトフォンのSPUシリーズなどである。このカートリッジは音楽を再生するには誠に良いカートリッジなのだが、如何せん、トレース能力などは現代のカートリッジと違って甚だ劣る。実際このカートリッジで先のレコードを掛けたら、あっさりと大砲の音でジャンプしてしまった。レコードにはその跡が付き、針の飛び癖が付いてしまった。(笑)

 

 AT33Eのカートリッジは未だに持ってはいるが、SME3009アームは友人に売り飛ばしてしまったため、今ではこのレコードを再生する術が無くなってしまった。しかし再生出来なくなると妙にあの時の大砲の衝撃音が恋しくなる。まあオーディオ的快感に浸りたくなるのでしょうな。

 

 そこでCDなら針飛びの心配は無いと数年前に当時の輸入盤を購入した。それで期待を持って掛けたのだが、以前このブログで書いたように全然迫力不足だった。実はこの演奏についてアナログの音と違い、CDの音はまるでダイナミック・レンジ、音の鮮度などが全然不足と酷評されている記事を読んだ事があるので、ある程度は予測していたのだが、こうまで酷いとは思わなかったのだ。これはデジタル録音で有る。そうであるならばデジタルの権化であるCDの方が音が悪いとは不思議な話であるが、概してレコードのデジタル録音の方がCDのそれよりも音がいいというのは、私も体験しているから、紛れもない事実なのである。

 

 そんな訳でこのCDを買ったものの、余りの迫力のなさに長い事お蔵入りさせていたのだが、アンプも良くなった事だから、久し振りに引っ張り出して聴く気になった。さてその結果だが、全体にはLPと比べてやはりイマイチだったが、件の大砲の音の所ではかなりいい線行ったと思う。寧ろ大砲の音に関してはCDの方がクリアーだったかも。

 

 そして久々に大砲の音の前ではドキドキ感があった。何せ私のスピーカーユニットはどれもこれも古いし、パワー・アンプも古いので些か不安があった。つまり音が良くなった分、かなりそれらが電気的にも衝撃を受けるのではないかと恐れたからである。果たせるかな、大砲の最初の音が鳴った瞬間、ドライバーの後方に一瞬稲妻のような物が光った。アチャー、ドライバーが飛んだかな? もう心臓がドキッである。

 

 その後も立て続けに大砲の音が室内に轟き渡る。かなりの衝撃音なので多分音は盛大に外に漏れて近所迷惑だったのでは無いかと推測する。(笑)大砲の音が鳴るたびにフィールド・ドライバーの電源の真空管のフィラメントが怪しく瞬く。かなり無理をさせているなと、我が再生装置に謝りたくなった。(笑)

 

 曲をかけ終えて、他のレコードをかけてみたが、どうやら何事も無かった様なので、一安心した。またどうやら別の意味でこのCDは当分お蔵入りとなりそうです。(笑)

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