新しいビデオデッキを買って随分と小さくて軽いのに驚いた。薄くなって奥行きも半分近くになったのである。更に結線する時も端子の数が少なくてこれまた驚いた、ビデオ入出力端子が無いのである。HDMI端子が一つあるだけだ。私はここでちょっとがっかりした。それらが無かったので、中古品を買えば良かったかなと思ったのである。
しかしこの仕様はきわめて合理的で、そもそも放送や録画がデジタルになってしまったため、画質がアナログ時代と違って甚だ良くなってしまったから、ダビングをしても画質劣化がそれほど起こらないため、放送配信する側としてはコピーされては困るのだ。だからアナログ時代のようにダビングすればする程画質が劣化する分に置いてはそれほどコピーにうるさくなかったが、今はかなり制限が掛かっている。
しかし、ちょっと前の機種はデジタル時代の製品であっても入出力端子は有った。それが無くなったと言うことはより厳しく制限をかけたのかも知れない。尤も私の買ったのは安い機種だからそうなので、お高い機種は案外付いているのかも知れないが。（笑）
新しいデッキはネット接続などに重点を置いているようだ。スマホなどと組み合わせて色んな事が出来るようだが、こちらはスマホなんぞは電話やメール以外にはほとんど使わないから、余りお呼びで無い機能だ。（笑）
ところで壊れたデッキのハード・ディスクにはまだ録画して見てない物が有ったから、このハードディスクを外してパソコンか新しいデッキに繋げて見ることが出来れば良いのだが、生憎そうはならない。新しいデッキなり、パソコンに繋げた時点で内容を見ることが出来ない形式になっているので、フォーマットするしか無いのだ。斯様に徹底的にコピーすることを防いでいるのである。
だからダビングが出来ない仕様になっているので、ビデオ入出力端子は必要ないのである。でも何だか寂しい。（笑）その代わり設定は随分と楽になった。時刻設定などしなくてもテレビに繋げてるだけで勝手にやってくれる。だから下手にそこらの時計と合わせて設定するよりも正確だ。同様に郵便番号を入れさえすれば、その地方のテレビ局設定は完了だ。
簡単なのはいいが、設定はビデオデッキ単独では出来なくて、テレビに繋がっていることが前提条件だ。つまりテレビに繋がなくては設定が出来ないことになる。それから操作はほとんど全てリモコンでしか出来ない。まあ、これなんかも困るよねえ。つまりリモコンが壊れたら、本体のボタンで操作は出来ないのだ。何せボタンその物が無いから。（笑）
まあ、これなんか今の製品を象徴しているんだろうね。もうエアコンはとっくの昔からリモコンでしか操作出来なくなっている。そのうちテレビもそうなるんじゃ無いかと戦々恐々としている。或る日リモコンが突然壊れたら、買いに行くまでテレビを見られないなんて事になってしまう。
リモコンはあくまでノメシコキのための道具であって、それが主体では無かったはずなのに、今や本体の操作部が独立してリモコンになってしまった。これは本末転倒なのではないか？ 昔者としてはやはり操作は本体でもちゃんと行えるようにしておくべきだと思うが如何な物で有ろう。
だが価格競争には中々勝てないから、少しでも安く挙げるために、取り外せる機能や端子は無くなって行くのだろう。実際マニュアルなど一昔前の物に比べれば随分お粗末になったものだ。
まあ我が趣味のオーディオに関しても同じ様なことが言える。例えばヨーさんが作ってくれたプリ・アンプなど、以前の物は入、出力トランス付き、真空管を使った如何にもアンプという佇まいだったが、オペアンプを使って作られたアンプなどはそんな物は一切使わず、きわめてシンプルで小型化しているのである。それでいて音は悪くない。
このようにして時代と共に製品は変わって行くのだろうが、どんどん合理的になるにつれ、使うこちら側としては何か寂しい気持ちになるのは何故だろうか？ 有り難みの無くなった形状やスイッチ類の少なさのせいか、製品が何か軽薄短小の時代に沿うようになってしまった故の感傷からかも知れない。
新しいデッキを見ていると何だか早く壊れそう。（笑）性能は上がっても耐久性が今の製品は無くなっているのではないか。まあ、メーカーにしてみれば早く買い換えて貰わなければならないからね。いやだねえ、使い捨てを奨励されてるみたいで。でもオイラはしっかり使い倒してやるぞ。その為に新品を買って5年保証を付けたんだから。（笑）そういう訳で新しいビデオデッキ君、精々長生きしてチョ。
