お隣の町内のHさんから誘われて津軽三味線のコンサートに行ってきた。何でも奥様が風邪気味なので券を無駄にするのが勿体ないからと音楽好きの私を誘ってくれたらしい。有難い事です。もうライブやコンサートには最近はほとんど行ってなかったので、生の音楽を聴くのは耳の洗濯が出来て嬉しい。
史佳(ふみよし)と言う方でお母様が高橋竹山会の二代目会長をやっていらっしゃる方で親子共演も度々行っているらしいです。今日はお弟子さんも加えた3人の演奏も聴かせてくれました。
所謂津軽三味線は私もテレビやレコードで良く聴いていましたが、生演奏は初めてです。おしゃべりも交えての正味1時間45分の演奏でした。欲を言えばもう少し話を減らしてじっくりと演奏を聴きたかったところですが、聴衆を飽きさせないためには適当におしゃべりを交えるのも止むを得ないかも知れません。
史佳さんはジャズ・ベーシストのロン・カーターとも共演された人で地元の新聞新潟日報にはその事が書かれていましたし、来年には地元新潟でそのロン・カーターと再び共演する約束があるそうです。
最近は三味線をやられる方は世界を股にかけて演奏をやられている方が多いようですが、大抵津軽三味線の流れをくむ人が多いように思います。ジャズ・アーティストと波長が合うんでしょうかね。ただ私は三味線の良さは何もこんな芸術の高みを目指したものばかりでなく、お座敷芸としての三味線や、浪曲の曲師の奏でる三味線なんかがどちらかと言うと好きなんです。演奏者としては世界に打って出たいという気持ちも分かりますが、三味線の独特の味わいという物は本来お座敷芸や民謡、寄席などで発揮されてきたのではないでしょうか。
津軽三味線は門付けと言う厳しい世界から産み出された物で有り、確かに素晴らしい物ですが、正直言って面と向かい、聴くこちら側もしっかり構えて聴かないと駄目みたいなところが有り、少々窮屈に感じるところもあるのです。その点先に挙げた所で奏でられる三味線は実にゆったりとくつろいで聴けるもので、ものぐさな私にはぴったりです。(笑)
都々逸を三味線を弾きながら歌うなんぞ粋ではありませんか。また浪曲師と曲師の丁々発止も聞き物です。中々最近はテレビで聴く機会が減っているのが残念ですが。とは言え、本日の演奏にケチを付けているのでは有りませんぞ。私は三味線というと最近は津軽三味線のような物しか大衆が興味を示さない事に違和感を覚えているのです。粋な三味線も大切にしたい物ですね。