家の外装など見ただけで経年変化はある程度分かるが、そこへゆくと音などは目には見えないから厄介だ。最初から新品を使っている場合でも徐々に経年劣化して行くから中々気付きにくい。
例えば私がSP盤用に使っているデンオンの102SDだが、かなり使ったなと思った時、一体どれくらいの音の変化を来しているか気になった。MC型であるから針交換に出そうかとも考えたが、新品との音の比較がしたくて新たにもう1個買ったことがある。
さて聞き比べてみるとあまりの音の違いにビックリした。今迄使っていた針が相当に劣化していたことにショックだった。それまで古い針を使っていてさして悪いと思っていなかったからである。徐々に劣化して行くから気付きにくいのだ。そして記憶というのは実に曖昧だなとも思った。最初に使った時の音などとうに忘れていたのである。
新品を最初から使っていてもこうなのだから、況んや中古品をやだ。果たして中古品を買った人はその製品の最初の音を知っていて購入しているのか。いや、知っていなくてもその音に満足して購入したならまだ良い。しかし、憧れていたどこそこの製品だからとか、あのメーカーの有名機種だから悪かろう筈が無いとの思い込みで購入していないか。
中古品ならある程度経年変化しているはずであるが、そもそも元の音を知らないなら、オーバーホールしても余り意味が無い。無論明らかに音が良くなればそれで良いのだが、修理した挙げ句、音が変わらないのなら何のために修理に出したか分からない。お金の取られ損だ。
そもそも修理する側がその機種の元の音を知っているかという問題も有る。知らないで元の音に近づけられる筈が無い。良く往年の名器が整備して売られているが、これなどは果たして元の音なのか、それとも単に音が出るようにしてあるのかは元の音を知らない者には分からない。それをさも俺は名器を持っているからと自慢するのはある意味滑稽だ。
勿論嘗ての音がどうであろうと現在の音を気に入っているのなら何をか言わんやだが、オリジナルに拘るのなら、あまりの骨董品はもう嘗ての音は出ないと考えるべきだろう。問題はその製品を持っている事に有り難みを感じ、音は二の次にして飾っておくならそれも良いだろうが、飽くまでも音に拘るのなら現在ただ今出ている音で判断すべきだと思うのだが。
まあ、スピーカーなど新品の時などよりも使い込んだ方がイイ音がする場合が少なくないので何にでも当てはまるという訳では無いが、特にアンプなどは確実に年数が経てば劣化している筈だから、それを承知して使う必要が有るだろう。
この経年変化という奴は最初に言ったように見かけだけでは分からないから厄介だ。私の姿みたいにちょっと前までは若く見えると言われていたのに、今や腰が曲がり、経年変化がハッキリと見て取れるようになったのとは大いに違う。(笑)まあ、少しくらい音が悪くなった所で、長年愛しんで使って来た物だから、言わば相棒みたいな物。せめて壊れるまでしっかり使ってやろうというのなら、それはそれで立派な使い方ではあるが。