「自分に熱がなければ他人（ひと）を熱く出来ないし、動かす事も出来ないよ」
役員・班長会議の後の懇親会を終えて我が家で引き続き二次会を行った時、同席した町内の若手のＹさんにこう言った。近年町内の各行事が行われなくなってきている町内も見受けられるが、多くはまだ頑張ってやっている。
これも毎年同じ事の繰り返しでは参加者に飽きられるから、執行部が工夫を凝らしていて長続きさせているのだろう。企画する側が熱くなければ出来ない事である。
また彼は我が家のオーディオ・システムとレコードの枚数に驚いたようであった。
「どうしてこんなに拘り続けられるのか、うちらにはこんなエネルギーは出てこない」
と言う。
色々伺ったところで結局世代による違いなんだろうと思った。私たちはまだそんなに物があふれている時代に生まれた訳ではないので、どうしても吸収意欲が盛んだ。欲しいものも買ってもらえないので、勢い自分で作るか工夫するしかない。娯楽も少ない。映画を見に行くか、本を読むか、ラジオで音楽を聴く程度である。これが今の世代はあらゆる点で選択の自由がある。それがために反って選ぶべきものが分からないのではないか？
ために何が本物か、どれが正道かが分からない。色んな情報が溢れかえって判断がつきかねるというわけだ。それは歴史の風雪に耐えて残ったものをまず、見たり、読んだり、聞いたりすれば良いではないかと私は助言した。聞けば彼はまだ映画でも本でも音楽でもそういうものに巡り合っていないのだ。
それにしてもそういうことを教えてくれる人がいないと彼はボヤく。まあ、他人に聞くもんじゃない、、本来は自分で探すものなんだけどね。だけど私は敢えてこう言った。
「俺みたいな道楽人のところへ出入りすればいいんだよ」
アハハ、ご退屈様。
