国際オリンピック委員会が来年の東京オリンピックの競技種目、マラソンや競歩の開催地を東京から札幌に変更するよう指示したという。そしてそれが決定的となりそうだ。一体今頃になって何故と言う感が強いが、先頃カタールのドーハで行われた陸上の世界選手権のマラソンや競歩の途中棄権率を鑑みての事で有ろう。
しかし東京とて暑さに備えて、開始時間を早めたり、アスファルトの遮熱対策などを行って来ている。何よりも東京で開催されると思っていた地元の方達の落胆は如何ばかりか。選手の側でも東京で行われる事を前提にして、対策を練ってきた人は少なくないと思う。まあ、どちらの開催でも構わない、体の負担を考えたら涼しい札幌の方が良いと言う選手や評論家もいると思うが、だったら何故もっと早くそれを提言しなかったかで有る。開催1年前を切った今頃になって突如開催地変更とは余りに乱暴すぎやしないか?そして地元の東京都はそれに何ら異議を申し立てる事も出来ずに、ただ唯々諾々として従わなければならないのか?余りに理不尽で有る。
そもそも暑さで選手に負担がかかりすぎるから、涼しい所で言うのなら、夏にオリンピックを開催するのがおかしいのである。前回の東京オリンピックが行われたのは涼しい10月の開催で有った。それがいつの間にか視聴率が取れるからと真夏の開催になってしまった。これはアスリートファーストと言うより営利優先と言うべきで有ろう。本当選手の事を考えるのだったら、記録の出やすい、体の負担の少ない秋に開催すべきなのである。
それがオリンピックがプロ選手の出場が可能となってから商業主義が横行し始める。すなわち選手が報酬を受け取っても良いだとか、コマーシャルの出ても良いだとか、お金に絡んでくる事が多くなり始めた頃から、おかしくなる。勿論昔はオリンピック出場のため自腹を切っていた選手もいたから、国なり企業が出場資金を援助するのは決して悪くないと思うが、開催時期を真夏にするというのはいくら何でもおかしい。
もういい加減この辺で開催時期は元の秋に戻すべきであろう。真夏に行い、少しでも涼しい所でと言う事で、直前になって開催地変更というのは本末転倒と言わざるを得ない。いい加減オリンピック委員会でこの事が協議されてもいいはずなのに、一向にその事が議題とならないのは委員会が商業主義に置かされる手いると言っても過言ではあるまい。
今となっては厳格にオリンピックをアマチュア・スポーツの祭典としていたブランデージ会長の頃が懐かしい。