我が家の常連客Ｍさんは毎週土曜日になると必ず我が家に遊びにやって来る。「開運 何でも鑑定団」を見るためだ。家にテレビがない訳じゃあるまいし何もわざわざ私の家に来なくても良さそうなものだが、まあ、私と一緒に見てああだこうだと言いたいのであろう。そこは寛大な私。モン客さんにもかかわらずコーヒーなども一応出してあげてる。彼は鑑定団の時間になるまであれこれくっちゃべったり、私のパソコンで麻雀ゲームをやったりして時間を潰す。今日はたまたまお昼ちょっと前に来た。しょうがないからラーメンを作って出す。まあ、前回は塩漬けのキノコを使ったために塩辛いラーメンを食わせたので今回は罪滅ぼしの意味もある。で、たまたまその後テレビで面白い番組があったので何だかんだと言いながら３時頃まで見た。
さてその後は彼は例によってパソコンで麻雀を始めたので、しょうがないから私はレコードを聴く。たまたまマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」をかけたら
「俺はこういう静かなジャズが好きだ」
と仰る。
悪かったね、いつもうるさいジャズを掛けて。それまで中間派のメル・パウエルなんかを掛けていてこう言われるんだから全く困ったもんだ。どうせわかりゃしないんだから黙って聞いてろ。それにそんなに暗い曲が好きだったらビリー・ホリデイかダミアの「暗い日曜日」でもかけてやろうか？半日ウチでのたくって行くんだから私の掛ける曲は何でも
「いや〜結構な演奏でございますなあ。音がこれまたお宜しい。さながらジャズ喫茶で聴いている様でげすな。」
と幇間のような台詞でも言ってみろってんだ。コホン、ま、あんまりいじめるのは止めにしようか。先週は雪下ろしを手伝ってくれたんだし・・・・・で、仲良く「鑑定団」を見る。それにつけてもウチにはお宝がねーなー。と、最後はいつも必ずぼやき合いになるのだ。お宝持ちの先祖がいる家に生まれていれば今頃は・・・・・だがテレビで他人様のお宝を見て満足している。これが案外幸福って奴なのでは？Ｍさんは幸せな顔をして帰って行った。
