私は高校生になるまで下駄を履いていた。それも普通の下駄は直ぐに減ってしまうからと言うので、足駄にしていた。雨の非も風の日もこれで通った。歯が減ってくると、近所に下駄屋さんが有ったので、歯だけを入れ替えて貰えた。今考えれば誠にエコなことをしていた訳である。
下駄のいい所は足のサイズに余り関係なく履けることである。しかも風通し抜群であるから、水虫なんぞになる道理がない。おまけにこれで天気予報が出来る。（関係ないだろ！）歯科も靴と違って脱ぎ履きが楽だ。
こんなに便利で安くエコな下駄が何故廃れてしまったんだろう。今では和服を召した女性がたまに履くくらいだ。まあ、考えられるのは道路の舗装化だ。道路という道路が舗装され、下駄で歩くとカラコロとウルサイのである。また生活が洋風化され、欧米並みに文化人は靴を履く物だなどという意識が広がったからだろう。
かく言う私も高校生になると流石に下駄は履かなくなった。また下駄で登校してくる奴なんぞありゃあしない。結局下駄はいつの間にか廃れてしまった。しかし私は素足で履いた感触が好きなので、今以てサンダルは愛好している。でも本当は下駄が好きなんだ。
高校2年生の時、山形県の天童市に旅をして、将棋の駒の形をしたまさに「駒下駄」を買ってきて、長らく昔の家の玄関に飾っておいたのだが、引っ越しのどさくさで見失ってしまった、同様に鉄屑の中から見つけた「鉄下駄」も盗って置いたはずなのに、これも行方不明だ。やっぱり下駄は無くなる運命なんですな。
