今日はＫさんがたまたま時間が空いたので１時間ばかり我が家に立ち寄った。秋だからと言う訳でもないが話題が食べる話になった。我々が幼い頃はいつも腹を空かしていたから、食べるということには執着があるなあと同意見になった。だから女房殿が冷蔵庫に旦那の好物を入れてて出し忘れてダメにした、なんてのは許せんと言う。今でも貧乏人の我々は何も取り立てて美味い物を食べたり、高級料理店に行きたい訳じゃない。ただいつもとはちょっと一味違う美味しい物を出来るだけ安く腹いっぱい食べたいだけなのだ。この腹いっぱいが大事なのであるが、残念ながら消化力の落ちている今では、若い時のようには食べられないのが残念だ。そんな訳で一味変わった物を求めるＫさんは、たまに変わった美味しい物を持ってきてくれることがある。中でももう10年位前になるかも知れぬが、高山の鯖寿司を土産に頂いた時は、余りの旨さに仰天したものだ。これを食べたらそこらへんの寿司などとても食べられない、といった旨さだった。まあ、我々の旨い食べ物、料理なんてこの程度のものだから、お世辞にも美食家、健啖家などとは程遠い。ただ人間旨いものを食べている時は皆幸せな顔になる。これがいい。貧しい時でも美味しい食事。一家が暗くなることは無い。そして人間食えなくなった時はこの世とおさらばする時が近いのだ。食べる幸せ、食べられる幸せ、美味しいものを頂く幸せ。そんなことを考えながら夕餉の膳に向かった。
