今年も暖房器具のお世話になる時期が来た。去年までは石油ストーブを使っていたため、灯油を買いに行ったり、ストーブに注いだりするのが面倒だった。その上灯油の値段にも一喜一憂していた。然し家を建て直してからは、蓄熱暖房やエアコンを使うようになったため、この面倒がなくなったのは嬉しい。そして電気だから部屋の空気を汚さなくても済むのが良い。この暖房器具、最近はオイルヒーターも人気のようだ。時代と共に暖房器具も変わって行くものだなと妙なところで感心した。
私が子供の頃は炬燵一つで家族全員で暖を取っていた事を思えば、隔世の感がある。今のセントラル・ヒーティングとは大違いだ。しかし私は妙にあの頃が懐かしい。暖房器具が一つしか無いために、勢い家族全員がそこに集まらなければならなくなる。すると会話が生まれる。家族の断絶などと言うものは起こるべくも無い。ただ兄弟が多いと炬燵の中で壮絶な陣取り合戦が始まるが。そしてまたこの炬燵というやつは頭寒足熱と言う長所も持っているが、一方ノメシコキになるという短所も併せ持つ。いったん中に入ったら出るのが嫌になる。まさしくノメシコキ製造機だったのだ。だが炬燵を通して家族の団らんが生まれる事は決して悪くはない。今の便利な暖房器具の恩恵に預かるに付け、ついあの頃を懐しく思ってしまうのだった。
