朝、眼を覚まして窓から外を眺めると、雲が低く垂れ込め、ガス雨が降っていました。残念、やはりお天気とは行かなかったようです。しょうがない。覚悟を決めて出発です。
朝の雷鳥沢。雲が低く垂れ込め、細い雨が降っていて、昨日の夕べとは
打って変わった景色です
愚痴っていても仕方有りません。朝食を食べて出発じゃー。
でも朝食は昨日の豪華な夕食とは違って、ありふれた普通の朝食です。
これまた残念。期待していたのに。(笑)
宿泊した雷鳥沢ヒュッテがガスの中に霞んで見えます。
雷鳥沢のテント場管理事務所と夏期診療所を兼ねる建物の所まで来ました。懐かしい。
囂々と音を立てて雪解け水が流れる川の所へ出ました。
川を渡るにはこの雨で滑りやすそうな板の橋を通らなければ
なりません。
標識が有りました。当然左の道(と言っても雪道だが)を進みます。
崖の上にサンカヨウが咲いていました。今年初めて見ます。
サンカヨウの隣にはキヌガサソウも有りました。少し角度が悪くて
分かりづらいですが、かなり離れていたのでお許し下さい。
雪渓を進んで行くと上に上がる登山道が有りましたので、登って行きました。人も大勢下りてきています。しかし暫く進むと「剣御前方面」と書かれた標識を見つけましたので、直ぐに間違いに気づきました。このまま行くと行き先は剱岳になってしまいます。(笑)分岐に標識が有ってくれれば良かったのですが、恐らく雪の中だったのかも知れません。引き返して再び雪渓歩きです。
どうやら大日岳方面へ行く分岐を発見。そこから登りです。雨で雪が固く締まり、ツルツルの状態なので慎重に登ります。雪渓を登り終えると、今度は木道の横歩きとなりました。木道の両側には高山植物が咲き乱れています。
雨に濡れたチングルマ
木道が終わると雪渓の急斜面に出ました。ルートは棒に付けられた布やポールで何とか分かりますが、踏み跡が全く見当たりません。恐らくこの雨で消えてしまったのでしょう。ポールを目当てに進むしか有りません。しかし雪面はスプーンカット状で、この雨で固くツルツルになっており非常に危険です。試しに私が少し進んでみました。いちいちつま先でキックを入れ、しっかりとストックを突かなければ、危なくて進めません。アイゼンが無ければこの先100mは有ろうかというこの雪の急斜面を登るのは非常に危険です。況してや私のグループには初心者もいるのだから。
熟考すること数分。遂に登ることを断念しました。そもそも雪がこんなに有るとは思わなくて、アイゼンを持ってこなかったのが失敗の第一です。いや、仮に持って来ていたとしても、果たしてここをちゃんと登れるか怪しい物です。やはり時期が早かったのが拙かったのでしょう。
ともかく止めるのも勇気です。山は逃げません。無理をせず、元気で怪我無く帰れば、また登る機会は必ず有るはずです。私が登頂断念を伝えると、UさんもMさんも心なしかホッとした表情になりました。きっとみんなも不安を抱えていたんだろうな。止めて良かったと思いました。
この雪の急斜面ではアイゼンやピッケル無しでは、怖くて登れない。
と言う訳で今度は室堂ターミナルを目指して帰りますが、室堂とここでは標高差200mは有るんじゃないかと思うくらいの高度差があります。下った分は登らなくてはなりません。辛〜い。(笑)
雪渓の所々はクレバス状になっているので、注意して歩かねばなりません。
長い石の階段の登りを終え、みくりが池に帰ってきました。このまま元来た道を辿り、バスターミナルに帰るのは癪なので、室堂散策に切り替え、室堂山荘方面へ足を伸ばします。
今度は反対側から見たみくりが池です。こちら側からの眺めは中々迫力が
有ります。
シモツケソウ? こう言う花はどうもよく分からん。
さて一行は室堂平を目指します。相変わらず雨は降っていて、雲は重く垂れ込めていますが、それでも行きとはまた違った景色が楽しめています。
ミヤマダイコウンソウ? あー、黄色い花はいつまで経っても見分けが
付かん。
室堂平に出ました。大きな山荘、室堂山荘はただ今増築中。
儲かっているんですな。
漸く雨が止みました。雲の切れ間から青空も見えます。でもまた次の雲が西の方から湧き上がってきていますので、束の間の青空なんだろうな、きっと。
漸く少し青空が見えました。ここで少し休憩して一同の記念写真を
撮りました。
いつまでもここにこうしている訳にも行かず、後ろ髪を引かれる思いで室堂を発ちます。山に登ることは敵わなかったけれど、いいリフレッシュが出来ました。バスに乗ると案の定またガス雨が降ってきました。今日はどうやら一日雨のようです。
帰りに亀谷温泉の国民宿舎「白樺ハイツ」に立ち寄って汗を流し、ついでに昼食も戴きました。でも利用者ほとんど女性の高齢者ばかり。国民宿舎というより老人保養施設?(まあ、我々も老人なんだけど)
と言う訳で無事に怪我無く帰ってこれたのが一番。さて今度登る山は晴れてくれるといいんだけど。気象庁さん、この次はちゃんと予報してね。