今日も晴天なので、この時期すかんぴんのやる事は一つ。そうです、キノコ採りです。んで、キノコは出てない、不調だーと言っていながら、性懲りも無く、また出かけるのです。今日は地元の鵜川地区。
ここなら少しは出てるんじゃ無いかと行きましたが、山道へ入り、あれれ、道路がえぐれている? そう、先日の台風19号による大雨で、道が雨水によって削られ、このまま進むと車の腹をこすりそうで行けません。折角ここまで来たのに・・・。しょうがありません、引き返す事に。
で、近くの別の場所へ入ってみる事にしました。ここは以前ナメコを採った事の有る場所です。入ってみると、ジャーン。1本のナラの木に上から下までびっしりとナラタケが生えているではあーりませんか。ほんで良く見るとお隣の木にもまだ小さいですがナラタケがやはり生えています。オホー、森へ入る早々ついてる~。
まあ、なんて沢山出てるんざあましょ。アタクシ笑いが止まりません事よ。オホホホホ・・・・。(お前はいつからオカマになったんだ?)持ってきた袋にどんどん詰め込む。あっという間にレジ袋4つに一杯になってしまった。リュックに入れて担ぐとずっしりと重みが伝わる。
しかし、採っている時に少し不安に襲われた。それはこれが正真正銘のナラタケではないかということだ。以前津南町の森の中で採ったナラタケがそうであったが、正真正銘のナラタケという奴は余り美味しくない。味噌汁にしても余り出汁が出ないのだ。でもあの時の奴は色が白っぽかったが、今日の奴は少し黄ばんでいる。ひょっとして違うかも知れん。とにかく採らない事には話にならないとばかり、一心不乱に採った。
オホー、ビッシリと出ているべ。しかも活きも悪くない。これは久々の大当たりか?
その後はいくら探せども立木にナラタケが出ているような木は無い。地面から出るキノコは不食キノコさえ余り見つからないという状況だ。ま、いいか、これだけ採ったんだから。意気揚々と引き上げてH先生にこれはナラタケのどの種類になるのか窺った。すると私の恐れていたとおり正真正銘のナラタケだった。アチャー!
当地ではアマンダレと呼ばれているが、一口にナラタケと言っても何種類もある。私が今日採ったナラタケ、それにナラタケモドキ、ヤチナラタケ、キツブナラタケ、オニナラタケ、ワタゲナラタケ、クロゲナラタケなど沢山だ。また最近は更に種類が増えているようだ。で、選りに選って私が採った所謂ナラタケが一番美味くないとは。
こうなるとキノコを洗ったり、消化の悪い柄を切ったりするのも面倒になってきますがな。そこで自分で食べる分だけ確保して、残りはキノコが欲しい人にあげる事にした。こうすりゃ面倒無いもん。
「オーイ、キノコ採ってきたどもいらんけえ?」
「キノコってどんなキノコ?」
「正真正銘のナラタケ、あまんだれですがな。」
「おお、あまんだれは美味いんだ。大好物だ。もらうこてー。ワーリのう。」
まず同じ町内に住むオーディオ仲間のSさんを血祭りに上げる。暫くするとSさんは地元で採れる美味しい種なし柿と辛味大根の種を持ってきてやって来た。
「おめさん、こんなの持ってこねてもいいのに。ワーリのう。ところでおめさんにこんだけナラタケやるよ。」
「え、こんげにいっぺことか? なんかワーリナー。ホントにいいんだけ?」
「いいこて、遠慮しねても。そのかわりもう確かにやったんだすけ、返品は無しだ。」
「え、それってこれナラタケじゃ無いって事?」
「んにゃ、確かに正真正銘のあまんだれだ。んでもコイツが一番うんめねえんだ。味噌汁にしてもあまり出汁が出ねえ。まあ、野菜炒めなんかにして、ちょっと味をつけて食べてくれ。ハイ、そう言う訳で返品は固くお断り致します。」
Sさんは怪訝な顔をして帰って行った。あー、上手く行った。その上こんな戦利品も出来た。でも、これってひょっとしてキノコ詐欺? いーや、構うこっちゃねえ。とにかくこんな大量に美味くねえキノコが有ってもこちらも困る。さて、次に餌食になるのはどいつだ?(ヒドイ!)
で、次に標的になったのが、先日マコモダケをくれた同級生のI君。家へ持って行ったら、丁度彼が出て来た。
「ナラタケいっぺこと採ってきたからやるよ。この前マコモダケ貰ったしさあ。」
「あ、こんがにいっぺことか? こんがにいらんでや。おらちはカカと二人だからさあ。」
「余れば冷凍しておけばいいこて。はい、ドーゾ。」
「そっか、ワーリナー。」
「ふふふ、確かに受け取ったな。もう返品は効かんぞよ。」
ここで私は件の理由を述べる。
「えっ、そうなのか。じゃあ、そうやって食べるこて。」
I君は素直に何とか受け取ってくれた。あー、やれやれ、これで2軒完了。
さて今度は姉がやっているお店へ行って、
「キノコ採ってきたからさあ。やるよ。いつもアンタの息子から沢山土産を貰ってるからさあ。」
「え、こんなにいっぱい貰っていいの?」
「ええとも。」
ここでまた私は寅さんが縁日で啖呵を切るが如く、キノコの袋を広げながら、店先でナラタケに関して蘊蓄を宣う。すると通りがかりのオジサンが、
「あっ、凄いキノコの量ですね。何ですか?」
「正真正銘のナラタケ、アマンダレです。リュック一杯採ってきました。」
「いや、凄い腕ですね。美味しそう。」
「あげましょうか。」
「え、でもお金払わなければならないでしょ?」
「いんや、只で差し上げますよ。」
「え、ただ? 只ならもう有り難く戴いて行きます。私キノコ大好きなんです。況してやアマンダレなんて・・・。本当にいいんですね? 後で返してくれって言われても返しませんよ。」
ありゃあ、返品拒否をこちらが言う前に言われてしまった。(笑)ここで件の只であげる理由を述べる。それでもオジサン、喜んで持って行ってくれました。やれ、嬉しや、また捌けた。(笑)
残った分は我が家の出入り業者、Kさんへ。Kさんも大のキノコ好き。件の理由を言っても何ら怯む所は無い。流石キノコ好き。キノコを貰う方は全てこう有って欲しいですな。こうしてキノコ詐欺まがいの事をして、採ってきたナラタケは全て片付きました。メデタシ、メデタシ。これに懲りて正真正銘のナラタケは見つけてももう採らんぞー!