昨年の今頃は我が家の完成を心待ちにしていた。でも出来上がってみると何か拍子抜けした様にも感じる。考えてみると家の計画段階が一番楽しかった時期かもしれない。この家の間取りや格好を考えたりするのは実に楽しい。東京では間取り図ナイトというイベントも何回も開かれている。だから私にとってモデルハウスや完成見学会に行くことは格好の暇潰しであり楽しみであった訳だ。あちこちの建築会社や工務店の完成見学会のチラシが入るとそれらをはしごして回る。当然建築に関する知識は豊富になってくるから、時には「もしかして建築関係の方ですか？」なんて聞かれたりしたこともあった。Ｋさんなんかは余りにしょっちゅう私が見学会に行くものだから、「いい加減にしておかないとそのうち『この顔見たら要注意』の貼紙をされるぞ」と脅かすのであった。まあ、確かに何件見て回ったか覚えていないほどの数を見たが、我が家の建築に大いに役立ったのは確かである。完成見学会や最新のモデルハウスを見て参考になるのは、今の家はどんなものが流行になっているかである。例えば一頃流行った小上がり。二階の多目的スペース。対面式キッチン。リビング内の階段、リビング内の畳敷きスペースなどである。また最新設備も気になるところだ。しかし我が家が完成した今ではまさかモデルハウスや完成見学会にノコノコと出かけていく訳にも行くまい。ただのひやかしと断定されてそれこそ指名手配書を配られかねない。だが完成見学会のチラシが入るたびに私の心は揺れ動くのである。うーむ、変装でもしていくか。だが住所氏名を書かされるしな。あーあ、誰か家を建てる予定の人はいないかなあ。そうしたらその人に連れて行ってもらえるのだが・・・・あ、そこの貴方家を建てませんか、なんちゃって。
