すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

駄菓子屋

子供の頃近所に歩いて5分で行ける駄菓子屋さんが有った。車の入れない小路通りに有ったが、当時は車の時代では無かったからそれでも良かった。だがそれでもなお今考えてみると、あんな人通りの少ない小路通りに良くお店が開けていたものだと感心する。そのお店はお店と言うより普通の住宅の一部屋を改造したもので、初老の夫婦の方がやっておられた。まあ、あんな場所でもやって行けたのは当時は子供が多かったせいだろうとも思うし、またそのご夫婦もそれほど利益など上がらなくても子供と接していれば楽しいと思っていらっしゃったのかも知れない。

 さて私の当時のお小遣いは一日僅か5円か10円。それを握りしめて足繁くそのお店に毎日のように通うのだった。籤(くじ)を水に浸して当たりかどうか見るもの。これは確か一枚1円か、2円くらいだったように思う。籤とは言うが、考えてみればこれは一種の子供の賭ですな。外れればな〜んにも来ないんだから。また縦横8×8位のマスに仕切られた上に絵が描かれたボール紙が貼ってあって、その紙を指で押して破り、中の品物を得るもの。まあこれは今で言うガチャガチャの原始的みたいなものですな。銀球鉄砲、2B弾、ゴム動力の飛行機、その他他愛の無い物や、簡単な文房具、プラモデルも有った。また有る時からはそこでお焼きを焼いて売るようになった。

 当時の私にとっては面白いものばかり。毎日のように行くとは言ってもそんなにお小遣いが有る訳じゃなし。他の子供と一緒に行って眺めて帰ってくることも有った。要するに子供の時から今と余り私の経済状況は変わらなかったので有る。だが欲しいものが有るとせっせと貯金をして目的の物を買った。うん、これはえらい。だがそうやって苦労して買ったものが実は手に入れてみると余り大したものではなく、あとで酷くがっかりした覚えが有った。まあ要するに買う前のドキドキ感が堪らなかったんでしょうな。

 そのお店はご夫婦が高齢になると店を閉じた。もう私はそのお店に通うような年頃では無くなっていたが、一つの時代が終わったような気がして、酷く寂しい思いに駆られたものである。

 振り返ってみれば「三丁目の夕日」では無いが、私達は昭和30年代と言う一番いい時代を子供の時に過ごしたなと思う。いつもお腹を空かせてガツガツしてはいたけれど、目はキラキラしていた。何にでも興味を持ち、夢が有った。もうあんな時代は二度と来ないだろう。それだけにやけに懐かしさが募るのである。