さて登るのに約4時間もかかったから、下山もそれなりにかかると計算して3時間は見ておかなくてはなりません。いつまでも周りの景色に浸っていたいですが、そうも行きません。Uさんは私とMさんに先立って12時40分に下山開始。私とMさんは地元FM局の番組収録のため15分後に出発です。
Uさんに漸く追いついた後、一緒にブナ林を下りて行くと、登る時には見つけなかったおナメコ様の幼菌をUさんが発見。でかしたぞー。もう今回は諦めていたのでうれピー。そしてまた先へ行くとまたまたUさんが今度は傘の開いたのを発見。うーん、道の傍らに有るのに、どうして登る時は見つけられなかったんだろう。多分登るのに必死だったから?
クリタケと併せてそこそこ採ったので、まあ来た甲斐は有りました。後は無事に下山するだけ。しかし、この山は急勾配だから、登る時より下る時の方が滑りやすくて怖い。くれぐれも注意して下りなければ。しっかりロープや木の枝、根っこなどに掴まり、慎重に下ります。
途中で下から登ってくるオジサンに出会いました。もう時刻は2時くらいになっているので、今から頂上へ行って下山に間に合うか?遅くとも4時くらいには林道へ来ていたいものです。そのオジサン曰く
「いや〜、来てみたらとんでもない山だ。こんなに急勾配で険しいとは思わなかった」
との事。そうでしょう。我々だってそう思ってるんだから。ホントに14年前のコースと同じか?疑問は尽きないので有りました。(笑)ともあれ我々の他に登山客が有りました。(笑)
先頭を行く私は危険な箇所をロープに掴まりながらそのまま下りて行く。すると突然ロープが無くなり、そのままズルズルと滑り落ちて行くしか無い所に来てしまった。必死で手を伸ばし、辺りの木の枝に掴まる。うん?こんな場所は行きには無かったぞ。さては道を間違えたか。でも変だなあ。さっきまでは確かに行きに通った所を通過したはずだが・・・。
私の後に続いてUさん、Mさんも来ていたから、直ぐに戻るよう指示する。しかし、如何せん、急勾配だし、体を支えようにもロープも何も無いから、皆必死で何とか周りの木の枝に掴まる。そしてまず私がそこを脱出して正しいルートを探していたら、中々上がれないでいたUさんが隣の茂みにルートを示すピンクのリボンを2本発見。どうやら私のいる所から見える左側の道らしき所と、今滑り落ちていった所の間に正規のルートが有るらしい。
Uさんはそのまま横へ移動し、そのルートへ。私とMさんは後から追う。でもどうして間違ったんだろうと周囲を良く見ると、先程まで下る時に掴まっていたロープがそのまま立ち入り禁止としてあるロープに繋がっているのだ。そして立ち入り禁止を示す細いテープも張ってあった。
しかし急勾配を下りてきて、直ぐ目の前に道らしきものが有れば、そちらについ進んでしまう。登る時は間違った道は見えないのだが、下る時はどうしても正規のルートよりもこちらがよく見えるので、ついそちらへいいてしまうのだ。さっきのオジサンも下山時にまた遭った時、やはり間違えて私よりもっと下まで行ったらしい。その時私が間違ったコースから脱出する時落とした帽子を拾ってくれたのだが、やはりまた落としてしまったとの事。熟々運の無い帽子です。まあ、しょうがない、諦めるべえ。
さて正規のルートを下山し始めた時、私はうっかり石を引っかけて落としてしまう。これが下にいたUさんの太腿に直撃。ひんえ〜、すんません。山男が決してやってはいけない事をやってしまった。それにしても頭に当たらないで良かった。そしてUさんが何とか歩けたから良かったものの、もし歩けなくなったら救援隊を呼ばなければならない所だった。本当に山はちょっとした事で大事故になる事が有るから怖い。くれぐれも慎重に行動しなければ。それにしても先程の地点にはもっと木かなんか十文字にふさいで通れないことをもっと明確にして欲しい所だ。
縄ばしごの所で先程のおじさんと遭遇。頂上へは行ってきたような事を言っていたが、おそらく無理だったろう。多分日暮れを心配して下山してきたに違いない。ゆっくりモードで下りている我々を後にして先へ行ってしまった。
漸く最後のハシゴの地点へ来ました。もうロープ、ハシゴは有りません。
駒ヶ岳の断崖に紅葉が映える。それにしても大変な山だった。
長い林道歩きを経て漸く元の三峡パークの駐車場に戻る。時刻は4時40分。Mさんは5時5分前に到着。下山も登る時と同じく4時間掛かった事になる。まあ、ロートル部隊だからしょうがないけど、あと下山が30分遅れていたら、辺りは薄暗くなってしまう所だった。まさしく虎口を脱すだ。
Mさんを待ってる間、私は三峡パークの展望台に上り、渓谷の写真を撮る。ここは深沢七郎原作、監督今村昌平の映画「楢山節考」のロケ地となった所だ。悲しい話だが如何にもこの辺りの山の奥深さが確かに話にマッチしてると思う。
こちらはその右隣の鉢山とそのまた右隣の駒ヶ岳。
お風呂へ入りに近くの「塩の道温泉」に着いた時は午後5時15分。辺りはほとんど暗くなっていた。建物の上には煌々とした月に照らされて仙丈ヶ岳の大岩壁がクッキリと浮かんでいた。それにしても全員無事に下山出来、良かったです。それにしても14年前はUさんと二人で僅か2時間14分で登った山が、何でこんなに時間が掛かる?みんな歳を取ったせい?いやいやどう考えたって元はあんな道ではなかったはず。恐らく道が変わってしまったんだと無理に自分を納得させるすかんぴんでした。これに懲りて秋の登山はもっと易しい安全な山にしよう。
月明かりに浮かぶ千丈ヶ岳、駒ヶ岳の大岩壁。