どうもオーディオマニアの方は2種類有って他人様の音を聞かせてもらって、ああ、いい音だなと思い、それを目標に目指す人と、悔し紛れに捨て台詞を吐く人がいるようだ。(笑)
前者はそのいい音を目指して自分の音も良くしようというのだから、別に悪い事ではないが、これをやっていると際限なくお金がかかる。(笑)どこかで見切りがつけられればいいのだが、いったん他人様のいい音を聞いてしまうと矢も立てもたまらなくなってしまうらしい。(笑)
まあ、お金が無尽蔵にあるお金持ちならば構わないが、普通の庶民なら奥方様の顔色を窺わなければ、おいそれとこちらの要求は聞いて貰えまい。ま、こういう方はやっぱり自分の音が身近なオーディオマニアの方よりも劣っているのは我慢出来ないんでしょうな。エー、くれぐれも夫婦げんかにならないようにお願いします。(笑)
さて後者の方は自分の音が一番でないと面白くないから、もっと困った御仁だ。嘗て私は町内のオーディオ仲間のセーさんに誘われて彼のオーディオ仲間の家に聞きに行ったことがある。ところがその方は偶然私の知っている方で、嘗て私たちがやっていた「ジャズライヴを聴く会」のコンサートにもたびたび聞きに来てくれた人だったのである。
彼のオーディ部屋は二階にあってまあそこそこの広さは有った。オーディオにはかなりお金をかけていたようで、結構な機械が沢山有った。彼はジャズファンでその点は私と同じで有る。彼の装置の白眉はやはり高域に使ってあるATRのイオンツイーターで、再生帯域が広く、CDをメインに聴く彼にとっては不可欠の物だったろう。音は決して悪くなかったので、ああ、いい音ですねと言っておいた。私はCDの音は好みではないが、それは人それぞれなので私がどうこう言うことはない。
その後、彼らのオーディオ交流会でセーさんの家に来た時、ついでに私のところの音も聴きたいというので快く承諾した。こちらだけ聞かせてもらって、聴かせないのでは仁義にもとる。(笑)だが私が結構なことをやっていたのが彼にとっては面白くなかったようだ。おそらく彼は私がここまでやっているとは思わなかったのだろう。それにしたって私のことをキチガイ扱いはないと思うよ。(笑)
おそらく彼は自分の方が先輩だし、自分のところの音は相当な物だという自負があったのだろう。だが彼だってオーディオマニアだ。音がわからない訳ではない。我が家の音を聴いて悔しさのあまり、思わず口をついて出たのだろう。でもねえ、オーディオは勝ち負けではないと思うんだけどねえ。
私は歳を取ってから特に他人様がどんなに素晴らしい音を出していようが気にならなくなった。それどころか、いい音を聞かせてもらって有り難いという思いの方が強い。いい音で好きな音楽を聴くというのは心の滋養である。仲間に自慢したくてオーディオをやるのでは本末転倒であろう。どうか彼が今は心穏やかに音楽を楽しんでいると思いたい。
さて今晩はこれを書きながら聴いていた曲の中から一つお聞きください。
ピーナッツ・ハッコーで「小さな花」