すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

オーディオは進化しているのか?

 今日東京へ仕事に行っていたミーさんが向こうで見つけたよと言って、私が昨年ヤフオクで落札出来なかった本を買ってきてくれた。何でも再発行だという。お値段2,800円也。すると私はヤフオクで5千円で入札しても入手出来なかったのだから大変お得な買い物をしたことになる。あの時落札出来なくて良かったあ。(笑)

 

 しかもこちらは古本では無く新品のピッカピカな本である。もうこちらの方が断然いい。さてその本はステレオサウンド社発行の「ヴィンテージアナログ」という本で嘗ての本誌の記事で評判だった物を集めて編集した物だ。私はこの第2集は持っていたが、最初の版が無かったので欲しかったのだ。

 

 こうなると地方に住んでいる者の悲哀を感じる。ミーさんは偶々入った書店で偶然見つけたのだが、こちらの書店ではこんなマイナーな本は何処の本屋さんに入っても置いてある筈が無い。図らずもまた都会と地方の格差を思い知らされた。

 

 しかしまさかまた発行されるとは思いも寄らなかった。尤も最近ではスピーカーユニット特集の本も嘗て出された物に追補記事を載せて再発行しているので、あながち今回が初めてだったという訳でも無いが。

 

 さて私が言いたいのは本誌の売れ行きは嘗てのようには良くは有るまい。(余計なお世話?)まあ、まだ売れていると思われるのは「管球王国」だとか今回の様な別冊である。いずれもヴィンテージ物を扱っている。と言うことは読者の興味は今流行のオーディオでは無く嘗ての名器と言われた物に有ると言うことだ。

 

 それは何故か? 恐らく今の新製品はべらぼうに価格が高く余程のお金持ちか物好きで無いと手を出せない物になっているからだ。手を出せない物の記事なんか読んだってしょうがない。(笑) それと昔からのオーディオファンは案外今様の音に満足していないのかも知れない。S/N比だとか、周波数特性だとか、ある意味物理特性ばかり追っていてもその実、音楽を聴かせてくれていないからそっぽを向けられているのはないか。

 

 今様の音が良いと仰る方は多分CD時代に育った方達だろうと思う。昔の機器など貴聴く機会が無ければ余計である。考えても今もってあのウェスタン・エレクトリックの熱烈な支持者がいる所を見れば(斯く言う私もその一人だが)果たしてオーディオは進化したのかと問いたい。

 

 記録方式や使い勝手が変わっただけでその音の本質という物は何ら進化してないのではないか。いや進化するどころか、我々が今の音に興味を示さないことを考えても寧ろ退化しているのかもしっれない。まあ、トータルでは少しは進化していると思いたいが。(笑)

 

 物事はほとんど全てが良いと言って機器が入れ替わったりすることは無い。トータルで天秤を掛けてどちらが良いか判断して進むのである。だかから方式や機器が新しくなって犠牲になった物が必ず有るはずだ。

 

 例えばSP盤であろう。割れやすい、雑音が入りやすい、片面大体1曲くらいしか入らないから交響曲一つ聴くのにも何枚も必要とする。従って場所を取る。しかし器楽曲など今聞いても録音の良い物はLPなんぞより遙かに楽器の音がする。しかし総合判定でLPに録音メディアの座を明け渡したのだ。

 

 同じ様なことがLPとCDの関係についても言える。物理特性はCDの方がいいし、取り扱いも楽だし、場所も取らない。その上持ち運びも便利で車中でも聴ける。しかもLPと違って針が接触する訳でも無いから理論上はこちらが長持ちする。そして最大の交代要因はCDの方が儲かると言うことで有った。

 

 こうなると最早オーディオの問題では無く利益率の問題と言うことになるから何をか言わんやだ。結果利便性のみが追求され、オーディオは堕落して行った。音楽業界は自らおのれの首を絞めたのである。音がどうのこうのより売れるか否かなのである。

 

 オーディオはある意味趣味性が高く、また芸術性もあって贅沢な物で有る。それだけにゼネラルオーディオならいざ知らず、高級オーディオの分野までもがはい一丁上がりみたいな物に成り下がっては困るのだ。無論今の機器とて良い音を聴かせてくれる物も少なくない。しかしどうも我々が聴きたい音とは些か方向が違っているように思えるのだ。

 

 それを如実に表すのが今回の本の再発行であろう。音の本質と言う物は時代が変わっても変わってはいけないのではないか。この本を読むにつけ、熟々そう感じた。

 

欲しかった本が定価で手に入りました。ミーさんに感謝です。