図書館へ本を返しに行ってさて今度は何を借りようかなと思った時、ふと以前友人のNさんにくれた本の事を思い出した。実はこの本は私はまだ読んでいなっかったのであるが、Nさんが例によってしつこく欲しがるので、(この男は相手がうんと言うまで駄々っ子のように諦めない。困ったものだ。)うるさいからあげたものだ。まあ、私も当時は仕事で忙しかったから、今のように時間が有る訳では無いので読んでいる閑はないと思ったのもくれた一因ではあるのだが。
ともかく手元に無いと俄に詠みたくなるのは人の常。図書館のパソコンで検索を掛けるとありました。白井喬二著「富士に立つ影」。頼むと係員さんが3階の書庫から持ってきて下さった。だが
「大分傷んでいるのですがよろしいでしょうか?」
とおそるおそる切り出した。見ると確かに傷んではいるが、布貼りの中々装丁が良かった本ではある。私は
「これは私が持っていたものよりも古い版ですが、中々味わい深いですよ。挿絵があるし漢字にはルビが振ってある。私は反ってこういう古い本が好きです。」
というと係員さんは安心したような表情になった。今時挿絵のある単行本は滅多にない。いわんやルビが振ってあるのはおやである。最初のページを見ると蔵書票のスタンプが押してあるが、これが中々凝っている。上部は富士山の形になっていて下部は作者名、本のタイトルと巻数、そして大きく図書館と書かれている。これは嘗ての柏粼市立図書館がわざわざ作った蔵書票なのか?謎が湧いてきた。更にこの本のすごいのはこれだけではない。装丁横山大観、開丁鏑木清孝、挿絵の画家が川端龍子、木村荘八、河野通勢と言う豪華さだ。私は思わず
「何だこりゃあ?スゲー!」
と快哉を叫んだ。一体いつ頃の刊行なのか奥付けを見てみるが、生憎何も書かれていない。まあ、古いのは間違いない。この本は全6巻だが、継続借り出ししなければならない本もあったので、取り敢えず第1巻だけ借りる事にした。どうせ書庫に置いてあって私達の目の触れない所にあるのだし、私のように検索を掛けてまで借りる人はほとんどいないと思われる。よって他人に借りられる心配なし。
御覧の様に挿絵があったり、ルビが振ってあるので
私のように漢字を知らなくても安心して読める。(笑)
ともかくこれでまた当分夜読む本には事欠かない。実は我家にはまだ私が読んでない本が山程あるのだが、やっぱり好きな本から先に読みたいというのが人情ですね。さてさて頑張って読むべえ。