NHK「クローズアップ現代」の流れで「歌謡ステージ」を見ていたら北島三郎が出演していて「なみだ船」を歌っていたがその酷さにがっかりした。声が全然出ていないし、節回しも誤魔化している。いくら77歳の喜寿と言えどこれが金を取って聞かせる芸かと言いたい。仮にも歌手と名の付くものであったら流石プロと言える歌でなくてはならないと思うのだが、これでは歌の上手いアマチュアミュージシャンの方が遙かにましである。北島三郎に限らず、島倉千代子、私の好きな小林旭、森昌子など声の出ていない歌手はいくらでもいる。プロである以上恥ずかしくない芸を見せなくてはならないと思うのだが・・・・。
昔の歌手は引き際が良かったと思う。近江俊郎などはまだ充分聞かせられるだけの声を持っていながらすっぱりと引退した。藤山一郎などは毎日トレーニングを欠かさなかったから晩年までその美声を保った。それだけに引き際は良かった。だが昨今の歌手は衰えてもなお金を稼ぎたいのか平気でテレビに登場してくる。まあその歌手の経済事情は知らないが聞かされるこちらは迷惑である。聞く側は往年の声を知っているからその衰えた歌唱は聴きたくないのである。円熟味とは違う。年齢を重ねた深みなどとも別の話だ。明らかに昔より歌唱力は落ちているのだから、聞く側は堪らない。歌っている本人は恥ずかしくないのだろうか?出演依頼を受けているからとかお客さんが喜ぶからは言い訳になるのだろうか?
これが勝負に生きる世界の人達であるならば、勝てなくなったら即引退である。歌の世界は勝ち負けではないから駄目歌を聴かせても良いと思っているのだろうか?ジャズのビリー・ホリデイの様に嘗ての声を失っても魂で歌を聴かせる歌手もいた。だが今の流行歌手にそんな人がいるだろうか?プロ野球西武の渡辺監督は5年間優勝出来なかったとして自ら辞任を願い出た。見事な引き際である。
プロの歌手なら引き際は潔く。これが私の言い分である。(オオ、決まった!)