すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

暮らしの手帖

 NHKの朝の連続テレビ小説とと姉ちゃん」が始まったが、これは雑誌「暮らしの手帖」の創業者をモデルにしているという。暮らしの手帖には思い入れがあって、私もよく読んでいた。と言っても古本でのことで出版している暮らしの手帖社には申し訳ない話だが、うちは廃品回収業をやっていたので、古本はいくらでも手に入ったのである。そしてこの本は別にタイムリーに読まなくても十分面白かったので、時折好きな人が買いに来ていた物だ。何せこの本はいい本だが少々値が張ったのである。

 さてこの本は100号を区切りとして1世紀号とか2世紀号の第何号と称しているが、私が面白いと感じていた頃の暮らしの手帳は2世紀号までである。3世紀号になってからも買ったことはあったが、価格の割に以前のように内容が充実してないので読むのを止めた覚えがある。今は4世紀号となり、売り物だった商品テストも無いようで、もっとつまらなくなってしまった。2世紀号までは編集長が故花森安治氏でその個性の強さが色濃く反映されてはいたが、私には反ってそれが新鮮だった。

 記事の中でも日曜大工のコーナーが特に好きだった。普段大工道具を持たない主婦のためにわかりやすく、そして誰でも作れることを目指して解説してあったので、不器用な私でも作れたのが嬉しかった。また故黒田恭一氏によるレコード紹介のコーナーも良かったっし、読者の投稿記事「すばらしき日曜日」も面白かった。だから古本でも十分だったのである。

 さてそんな訳で暮らしの手帖は第1世紀号、第2世紀号とかなりの数を在庫していたが、流石に場所が無くなったため、有る時思い切って処分した。だが今となってみるとまた読み返したい気分になる。それほど面白く役に立つ雑誌だった。

 で、一旦は全部処分したのだが、無くなってみるとやはり寂しい。そこでその後手に入った2世紀号以前の物をまた在庫している。何のこっちゃ。その中でも特にこれだけは二度と手放すまいと思っているのが、1世紀号の第96号「戦争中の暮らしの記録」である。この号を読む度にあの忌ましく悲惨な戦争が二度と起こらないことを願う。近頃安保法制と称してまたぞろ日本がおかしな空気になってきたが、あの終戦直後は誰しもが戦争が終わり、ほっとしたことだろうと思う。そして戦争はこりごりだと痛感したはずである。だがのど元過ぎれば何とやら。またぞろ戦争することを考え出してきている。困った物だ。為政者がどんなに理屈をこねようと、塗炭の苦しみに遭うのは国民なのである。それも下の者ほどしわ寄せが来る。戦争をしたがっている政治家先生、まずあなた方が戦場に行ってくれ。そうすりゃ庶民も少しは納得するよ。

 いささか脱線したがこの本は戦争当時の体験を伝える貴重な証拠であると言える。さて私が死んだらどうなるかな?

暮らしの手帖第一世紀号の96巻目。「戦争中の暮らしの記録」
1968年夏号である。