すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

真夏の夜のジャズ

 映画のタイトルではない。今の前の家の時代音楽を聴く部屋はそれ専用にしておいた。と言ってもわずか8畳程度の部屋でソファーやらオーディオ装置が置かれているので、全く広さは感じない。でもここでソファーに寝転がって音楽を聴くのが至福のひとときだった。えー、毎度申し上げているように私はすこぶる行儀が悪いので、決してソファーにちゃんと座ってかしこまって音楽を聴くような輩ではございません。そうして音楽を聴きながら気持ちよく眠りに落ちるというのが、当時の定跡だった。

 しかしこれはあくまでも春や秋の季候のいい時のこと。こと夏となるとそうは行かない。何しろその頃はまだエアコンというものを入れてなかったから、夏の夜音楽を聴くと言うのは一種の拷問だった。昼間は仕事に出かけているから、当然二階のリスニング・ルームは窓を閉め切っていた。二階だから真夏の陽に焼けた屋根の瓦の熱気がもろに部屋に伝わって充満している。だから夜音楽を聴く前にはまず窓を開け放ち、熱気を逃がしてからだった。

 さてそこそこ涼しくなったから、そのまま音楽を聴ければ良いが、夜中に大音量を外に垂れ流す訳には行かない。そこでやむなくまた窓を閉める。最初はまだいいが、やがて管球アンプ3台の発する熱が室温をじわり、じわりと上昇させる。LP1枚聞き終える頃は玉の汗だ。まさしく熱気あふれるジャズを聴けたので有る。(笑)

 LP3枚も聴けばサウナ風呂に入ったよう。斯様に夏の夜音楽を聴くことは苦行に近いものが有った。お金が貯まるや即エアコンの購入に踏み切ったのは言うまでも無い。ところが人間とは不思議なもので、その頃になると余り夏は音楽を聴かなくなったのである。何故か?実はその頃から毎晩晩酌をやるようになったので、私は食堂の椅子の上で酔いつぶれて寝てしまっていたのだ。1階は2階と違って比較的涼しいし、窓を開けてあるので天然エアコンだ。毎日安らかに昇天していた。これじゃ何のためにエアコンを入れたのか分からない。

 思えばあの頃が音楽でもオーディオでも稚拙で有ったが故に熱心に聴いていたのかも知れぬ。ただただ今は若い頃の情熱が懐かしい。お若い方々、若い時代を大切にお過ごしください。まあこんなことを言うのも年を取った証拠ですね。