Ｋさんは美術教師だけに毎年凝りに凝った、捻りに捻った年賀状をくれるのだが、今年は元旦に届かなかった。さては余りに凝った年賀状だけに手間取って出すのが遅れたのかというと、まあこの男に限ってそんな事は断じて無い。手間取るようであれば早く取りかかれば良いだけの事。そもそも私と同じで尻に火が点かなければやらないのだから、きっと正月休みに書いたのだろう。
さてそれでも一応期待していたのだが、届いた年賀状はいつもの手間が掛かった物とは正反対で、１０分もあれば出来たんじゃない？と思われる単に写真を貼り付けただけの物。なんじゃこりゃあ、これじゃオイラの年賀状と同じじゃないの。（じゃあ、文句言う必要無いじゃない）期待して損した。
そこで今日Ｋさんが遊びにやって来たので、早速その事でいじめに掛かる。
「何じゃ、今年の年賀状は。お主も堕落しおったのう。遂に楽を覚えてしまってからに。ふふふ、一旦楽を覚えると味を忘れられずに多分来年もこの手で行くんだろう」
とお気楽年賀状の同志が増えたオイラはしっかり皮肉ってやった。
「いやまあ、僕はホラ、ここんちに年末蕎麦打ちの手伝いなどに来て多忙を極めたもんだから、今回はしょうがなかったんだ。そりゃあ今回は手抜きだよ。しかし、手抜きながらも随所に拘っている所に注目して貰わなくちゃ困るなあ、キミ。例えばこの謹賀新年という文字。写真に合わせてレトロな書体にしてあるし、写真の上に書いた文字も背景に合わせて黒白の使い分けをしておるのだよ」
と必死こいて手抜きの言い訳をしている。
まあ、許してやるとするか。今回はそれでもオイラの世話にならず、曲がりなりにも自分独りで年賀状を作ったんだから。さて来年はどんな手抜き年賀状が来るか、今から楽しみです、イヒヒ・・・・。
