○桐さんがやって来て、長岡に面白いカレーを食べさせる店があるから、行ってみないかという。まあ、カレーが嫌いな奴は余りいない。私もその例に漏れず嫌いではない。で、面白そうだから行ってみることにした。
所は長岡市の宮内。駅にほど近い所で、一見すると食堂に見えない。○桐さんによると、メニューはこのしょうがカレーただ一品なのだそうだ。お店に入ると既にお客さんが一人いて、愛想の良さそうなマスターが出てくる。早速件のしょうがカレーなる物を注文する。
程なくしてそのカレーが出てくる。一見すると、ややゆるめとも思えるカレーがかけられている。具は余り多くはなさそうだ。食べてみる。ゆるめなので、味も薄いかと思ったがさに非ず。意外とコクがある。そしてしょうがが効いているのか、十分辛い。しかし暴力的な辛さでは無いのがいい。肉は一切れほど入っていたが、ホントに具は少ない。味を楽しむカレーなのだろう。尤もお値段が600円だからしょうがないか。(ショウガはカレーに入ってるよ〜ん。――ダジャレは止めろ!)
○桐さんに言わせると以前はワンコイン(500円)で食べられたという。安いから価値有ったのに、これじゃあなあと仰る。私はまあ600円なら許せると思った。しかしこのお店は良くこの一つのメニューだけでやっているなと感心した。
店内を見渡したり、外観から窺うと、どうやら以前は美容院だったらしい。そこを別に改装もせずに、そのままテーブルと椅子を置いてレストランにしたらしい。
店長の好みか、ガラスケースの中は懐かしいオーディオ機器が
陳列されていた。他にも店の隅にカメラが有ったから、昔の男の趣味が
ちゃんとこの店に反映されていた。
当然アナログオーディオで、壁にはLPジャケットが貼られていました。
珍妙な店名だが、これが案外お客を惹きつけているのかも知れぬ。
レトロな石油ストーブも置いてありました。これも店長の趣味か?
我々が食べている間にも二人ほどお客さんが来たが、お昼時なので
当然だ。問題は果たして一日何人このお店にお客が来るかだ。仮に20人お客が来たって、売り上げ12,000円。大したことないなあ。え、他人の懐具合なんか心配する必要ないだろって? ハイ、ご尤もです。でもねえ、歳を取るとつい余計な心配しちゃうんだよねえ。店長さん、しょうがカレーだけでなく、売り上げの方もちゃんと研究してくださいな。