今読んでいる小説は山本周五郎の「さぶ」だが、なんと折しもNHKでドラマ化されてついこの間放映された。他にも何本か放映されたようだが、私は昔から山本周五郎の小説が好きであった。
名も無い市井の人々を温かい視線で描いている。決して大河ドラマに出て来るような歴史上の重要人物では無い。何処にでもいるような人々に光を当て、読むといつも清々しく心温まるような気持ちにさせてくれる。それが私の好きな理由かも知れない。
以前はよく読んだが、最近はとんと読んでないので、また読み始めたら、偶然にもNHKでドラマ化した。夕べその再放送を見たが、真っ直ぐで純粋な気性の二人の青年を良く描いていたと思う。私がまだ読み終わらないうちに、筋書きが分かってしまって些か拍子抜けしたが、小説は小説でまた味わい深い物があろう。寝る前のほんの僅かの時間にしか読まないので、遅々として進まないが、どうせ時間はたっぷり有る暇人ジジイだから、焦ることは無い。テレビの画面を思い浮かべながら読むこととしよう。
周五郎はどんなにその作品が賞に推されようと辞退し続けた人であった.彼の創作意欲は賞などでは無く読者の熱い支持だったのである。さもありなん。作品に良く彼の人柄が表れている。ともすれば現代人の心の中から今では失われてしまったことが、彼の描く作品にはしっかりと刻まれている。私達はそれを心に取り戻したくて、その作品を読むのかも知れない。さて今宵は何ページ読めるかな?