すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

真作が二つ?

 バブルがはじけてからと言うものすっかり絵画の価格は下がってしまった。私もあの頃は景気が良かったので数点絵画を購入したことがある。元々絵は好きだったし、絶えず好きな絵が目に入る所にあれば気持ちも和むと言うこともあった。

 

 さて今から30数年前、我がオヤジ殿も私と同じく書や絵は嫌いでなかったから、ある晩絵を売りに来た旅回りの画商から私に絵を買ってやることになった。私はその中から伊豆の網代港を描いた絵を選んだ。光線の向きが変で陰の付け方が嘘だったが、中々雰囲気の良い絵だったので気に入ったのだ。その頃の値段で確か5万位していたように思う。以来結構壁に掛かっていた期間は長かったように思う。最近は自作の絵や、他の絵に交換されてとんと出番がないが。(笑)

 

 その後絵を購入すると言うことは無かったが、最初に述べたようにネットなどを覗くと、最近は絵の値段は著しく下がっているのが分かり、あの頃購入出来なかった絵も手に入れられると思い、色々と探していた。そんな時先の網代港を描いた絵が出品されていたのである。これには度肝を抜かれた。

 

 私が買って貰った絵は真筆だった筈なのに、何故同じ絵があるのか? まあ良く考えれば分かることだが、恐らく真筆ではなく、リトグラフか何かの複製品だったに違いない。それを真筆と偽ってドサ回りの画商達は売り歩いていたのだろう。そのうちの一つがネットに出た物に違いない。しかしまあこの程度の絵で良くリトグラフにした物だと思うが、逆に有名品でないからリトグラフでも真筆と誤魔化せるのかも知れない。

 

 まあ高々5万程度の絵で真筆もクソもないが、これがある程度有名な画家となってくるとそうは行かない。たまたま今回嘗て「一枚の繪」などで売れっ子だったS氏の作品がネットに出ていた。10号の作品で初値は何と5千円である。S氏は号12万の作家である。その真作が初値とは言え5千円とはいやはや驚いた。私の嘗ての取引先の社長さんがこの方の絵をかなり買われている。みな80万、100万は払って買った物だ。

 

 私はこの作家の作品は好きだったがその頃は余りに高いから買えなかった。それが5千円なら即買いだ。早速11,000円を入れて入札。すると当然の如くあっさり他の方に抜かれたが、それは止む無しと思った。と、ここで私は一体S氏の作品はどれ位で落札されているか、過去のオークションの落札価格を調べてみた。

 

 そうすると価格よりも驚いたことがあった。それは今手に入れようとしている絵と全く同じ絵が15,400円で落札されていたのである。こちらも真作となっている。これはどういう事??? 私は早速出品者に質問したが、未だに梨の礫である。考えられることは先の「伊豆の網代港」同様これも複製品では無いかと言うこと。

 

 S氏始め、「一枚の繪」の作家の方達は同じモチーフで同じ様な絵を描く事が多いが、丸っきり寸ぷん違わず同じ絵を描くことはあるまい。してみるとどうも怪しい。私は一気に興ざめしてしまった。複製品でも良い絵なら作者直筆のサインでも有れば皆さん購入すると思うのに、何で真作と謳うのか。甚だ残念で有る。昔と違って今やネットが有るからひょんな事から事実が判明する。有る意味怖いですね。

 

 ともあれ絵画の商売の世界は百鬼夜行。油断しているととんだ目に遭いそうですな。はてさてこうなると昨日私が落札した絵もまた同じ物が出品されなきゃいいが。(笑)戦々恐々としているすかんぴんでした。