すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

啖呵売

六月に入ると柏崎ではえんま市が近づくことになる。このえんま市というのは高市(タカマチ)番付でも大関クラスだそうな。子供の頃はこれが楽しみで一日に三回も行ったものである。その頃は結構怪しいテキ屋も来ていて工場が焼けたから現物支給で万年筆が支給された、とか言って灰の中から拾い出してきたような万年筆を売っっていた。またガマの油売りまがいのものや蛇娘などのいわゆる見世物小屋など今ではあまり見られなくなってしまったのもある。また亡父の話によるとそのちょっと前頃までは詰将棋屋もあったらしい。その後これは聞いたところによると条例かなんかで禁止されたとのこと。そして私の好きな興業はオートバイサーカスでこれはほんの一時期しか掛からなかったように記憶している。これは網目状に組んだ鉄球の中をオートバイが走り回るものでそのスピードと轟音はかなりの迫力があった。何しろ天井、側面至るところを走り回るのであるから、初めて見た子供にとっては新鮮な驚きがあった。また金魚すくいや籤引きなども安いお金で出来たので結構やったものだった。そして私は香具師の中でも啖呵売をしている店が好きだった。私が覚えているのは調理道具を売る店や、七色唐がらし(七味唐辛子とは言わない)を売っている店でその立て板に水を流すが如くの口上には痛く感心したものである。つまりフーテンの寅さんみたいな香具師だ。残念ながら最近ではこういうことのできる香具師はやって来ない。露天も以前のように怪しげな店はない。最近は食べ物屋ばかりが多くなり、ちっとも面白くない。したがって大人になってからは数回くらいしかえんま市に行っていない。まだまだ探せば全国に啖呵売のできる香具師の皆さんがいると思うので是非連れてきて見せてもらいたいものだ。これは一種の伝統芸なのであり、文化だ。という訳で現実には今では生で聞けそうもないので小沢昭一さんの「日本の放浪芸」のCDを買って自宅で侘しく聞いているのである。