突然先輩のＯさんから電話を貰いＳさんの訃報を知った。（ＯさんはＳさんと仕事場が同じ）死因や葬儀の詳細は分らないので自宅まで行ってみる事にした。私はまだ彼の家へ行った事は無かったので、あちこち訊いて漸く探し当てた。奥さんに伺うと夕べ自らの命を絶ったという。私は絶句した。Ｓさん、何でそんな事をしたんだ。Ｏさんの話に依れば一月程前から体の具合が悪いとかで会社も休んでいたとの事。奥さんの話では仕事がきついと漏らしていたとか。彼は来年定年であった。あと1年ならば会社を辞めたっていいじゃないか。長年一所懸命働いてきたんだ。自分の体をもっと愛えよ。何を悩んでいたんだ。水くさいぞ、相談位してくれたっていい筈だ。私はつい恨み言の一つも言いたくなってしまう。彼の枕元で語りかけても何の返事も帰ってこない。涙を堪えようとしても堪えきれない。好漢、何故死に急ぐ。
責任感の強い人でまた良く気の付く人でもあった。私が現役の時はどれ程仕事を手伝って貰った事か。いつもきびきびと立ち働いて気持ちのいい位体の動く人で労を惜しまなかった。音楽も好きで度々私にジャズの事などを訊いていた。ライブにも良く一緒に行った。古民家探しもしたっけ。辺地での静かな旅が好きだったよね。彼との思い出が走馬燈のように蘇る。
真面目だけで無く他人をからかったり（悪気でなく）して剽軽（ひょうきん）な一面もあった。
あの笑顔をもう見る事は出来ない。唯々残念な思いが募る。私より若い人が先に逝くのを見るのはもう嫌だ。でも今はもう安らかにお眠り下さいと祈るのみです。
