私が子供の頃は今のように地球温暖化なんて言わないから、毎年のように雪がたくさん降った。中でも俗に言う38豪雪の時はひどかった。市街地でも2mを超える積雪で、今のように除雪車などは台数が多くなかったから、幹線道路以外は皆交通不能になった。いやその幹線道路さえ排雪せねば通れる状況では無かった。
屋根は度重なる降雪で雪下ろしをしなくてはならない状況になったから、市内一斉雪下ろしなんてのが行われた。私の家の前の道路は当時はまだ未舗装だったし、道路幅も狭かったから除雪車が来たって雪のやり場が無い。春になって雪の消えるのを待つしか無かった。
豪雪のため玄関の所に雪で階段を作り、上がったり降りたりしていた。だから吹雪の翌朝などは反ってそこが吹き溜まりとなって玄関の出入り口を塞ぐ。で、階段を作り直す羽目になる。2階から出入りしていた家もある。だから春の来るのが待ち遠しかった。雪が徐々に消え始めると、市から頼まれた人たちが圧雪を割りに来た時は、ああこれでやっともう雪とおさらばと思って嬉しく思ったものだ。
さて冬の最中はこんなだったから、当然鉄道はやたら運休になるし、車は通れない。左様に交通機関は発達していなかったから、冬になると野菜の価格は高騰する。だから各家は冬になる前に越冬用野菜を大量に買い込んでおいたものだ。その点今はどんなに雪が降ろうと滅多に食料が手に入らないなんてことは無い。除雪もしっかりやってくれる。いい時代になったものだ。
だが人間それが当たり前になると少しの難儀でも不平が出る。今日もニュースを見ていたら、新潟市で除雪をしていた人が
「いや〜、後から後から降るんで参りました。いくら除雪をしても先が見えないんでいやになってしまいました。」
なんてことを言っていた。ちなみに今日の新潟市の積雪は38cm。オイオイ、たかがそれ位でいやんなったなんて言ってくれるなよ。しかも新潟市の雪なんてたいしたことないし、どうせすぐに消えるんだから。豪雪地帯の人が聞いたら怒るよ。
ま、楽ばかりしているとその有難味が分からないんですな。明日もまだ雪は続くそうだから、せいぜい頑張ってチョ。少しは豪雪地帯の苦労が分かったでしょ?都会の人もたまに田舎に来て
「ああ、田舎は自然が豊かでのんびりしていいなあ」
なんてお気楽なことばかり言わないでちょうだいね。
ああ、また愚痴と小言になってしまいましたね。嫌だねー、年寄りは。豪雪の思い出を語るつもりがこれじゃお説教だ。年寄りの繰り言と思って平にご容赦を。(ペコリ)