Yさんの所へ遊びに行ったら、この間直した電蓄でSP盤をいろいろ聞かせてくれた。戦前戦後に流行った歌。東海林太郎の「国境の町」、佐藤千夜子の「東京行進曲」、中野忠晴の「小さな喫茶店」、川田正子の「鐘の鳴る丘」などである。悲しいかな、私はそれらの歌を歌手名とともにしっかり知っていた。年齢(とし)がばれる〜。(笑)
だがこれらの歌手の共通点は皆歌が上手い事である。昨今の跳んだりはねたりしながら歌っているアイドル達とはエライ違いだ。私は流行歌の場合子供時代はほかの子供とはちょっと違って、ませていて大人の歌を良く覚えていた。だから私の年齢ではあまり覚えていないだろうと思われる歌もしっかり分かる。だからそれだけに今日聞かせて戴いた歌が変に心にしみるし、いいなあと思うのだ。
少女の川田正子が歌う「鐘の鳴る丘」は童謡になるかどうかは分からないが、今、童謡を歌う少女歌手なんているのだろうか?かつては小鳩くるみなど多くの歌手がいたが、最近はさっぱり童謡歌手の名前を聞かない。また童謡を歌う子供達もいない。もはや童謡を懐かしみ、歌うのはオジサン達、いいや私たち老人世代だけになったようだ。故小沢昭一氏ではないが、これはまさしく老謡だ。老人が子供時代を懐かしみ、歌うのである。嗚呼、明治どころか昭和も遠くなりましたなあ。