すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

懐かしい景色

久しぶりにテレビで鬼平犯科帳を見た。やっぱり鬼平の役は萬屋錦之介や松本白鴎よりも中村吉右衛門のほうがいい。いかにも人情味溢れる鬼平が顔から滲み出ている。それはともかくいつも思う事だが、ラストのエンディングテーマで演奏されるジプシー・キングズの「インスピレーション」が背景の映像と相まって何とも言えず郷愁を誘う。

 四季の日本の美しい風景を映し出している。そしてそこに暮らす人々の生き生きとした表情。時代劇故のなせる技か、過ぎ去った古き良き日本がそこに有る。ひょっとしてこの頃の方がある意味人間らしい暮らしをしていたのかも知れぬ。

 心に焼き付いている風景が有る。それはまだ中学生の頃だったと思うが、学校へ通う道の途中は当時はまだ田んぼがあちこちに残っていた。秋ともなると稲架(はさ)が道の両側に壁の如く立ち並ぶのである。そこを通ると稲の香りが漂ってくる。またシオカラトンボやオニヤンマなどがその間を飛び交っていた。そこへ来ると何となく別世界に入り込んだような感じにさせられたもので有る。そのハサ木に稲を掛けたり、或いは外したりする農家の人の活き活きとした暮らしぶりを見るのが好きだった。

 時代は移り、コンバインの普及であの懐かしい風景はもう見られなくなってしまった。思えば私たちは戦後の一番良い時期に生きてきたのかも知れない。経済や文化の発展という物は片方で必ず失われて行くものも有る。私たちはその失われたものを体験出来ただけでも幸せである。惜しむらくは今の子供達にも見せてやりたい事である。