私は毎度申し上げてるように年金生活者だから、いつも懐具合が厳しい。そんなだから滅多に外食なんぞしない。食料品買い出しは専ら近くの安売り食品店で済ませている。自炊をすればエンゲル係数は下がるのである。
しかしいつもこんな食事でいいやと自分の料理したさほど美味くもなく、ワンパターンの料理ばかりでは心が貧しくなるばかり。そこでたまには見栄を張って、月に一度くらいは外食をするのだが･･･・。
今日は午後から珍しく誰も来ないので、レコードでも聴くかとアンプの電源を入れたら、ピンポ～ンとチャイムが鳴り、久しぶりにＭさんが現れた。総裁選の折、話はどうしても政局のことになるが、今年は地元柏崎市も市長選挙があって、それに関して中々面白い情報が聞けた。流石地元ＦＭ局の部長さん、色々と知っていらっしゃる。
だが今は仕事の時間帯。こんな所でお茶を飲んでサボっていていいのかい？ え、世間の話を聞くのも大事な仕事だって？ 物は言い様だね、全く。（笑）まあ、そういう訳でその地元ＦＭ局の番組作りの話になった時、嘗て番組作りに協力していたＴさんの話になった。そう言えばどうしてるだろうな？ あの人は話が上手いから、また番組を作って貰ったら？と私が言うと、じゃあ久しぶりに食べに行って話を聞いてこようとＭさんが賛同した。
因みにＴさんは市内で「○気屋」と言うステーキ屋さんをやっている方である。そう言えばオイラ10年はあそこのステーキ食べてないぞ。（如何に貧しい食生活を送っているか、これが証拠ですぅ）う～ん、そんな話になったら急に食べたくなったぞ。幸い夕べオークションに出品していた品物が高値で落札されたから、おーふたんぎらかして（注：地元の方言で大盤振る舞いをすること。知らない人が多い）ステーキを食べに行こう。
と言う訳で豪華にステーキを食べに行くことになった。ふふふ、たまにはリッチに行かなくちゃあな。そうでないと我が輩は永遠の貧乏人と思われてしまう。（違うのかい？――エエイ、ウルサイ！）あ、そうそう、Ｍさん、オイラいつもこの時間から散歩をしてるんだが、良かったら一緒に付き合わないか？ そうすりゃ、適度におなかが空いて、よりいっそうステーキを美味しく食べられるという物だよん。
Ｍさんは快く賛同し、一緒に散歩へ出かける。さてこれでステーキが入る準備は出来た。レッツ・ゴーじゃ。車は一路○気屋さんへ。しかし途中で嫌な予感に襲われる。あのさあ、今日は月曜日。○気屋さん、お休みじゃないべか？いや最近のお店はあまり月曜日は定休日にしてないぞ。多分ＯＫだろう。などとまるで根拠のない意見を交わして目的地に到着。だがもう夕刻6時を回り、辺りは薄暗くなっているのに、店に灯りが点いてない。お店の玄関へ回ると「店休日」の看板が。アチャー、Ｔさん、あなたんとこのお店も古い体質だったのね。（笑）
さあ、どうする？ ここまで来て今更外食止めという訳にも行かんしなあ。じゃあ、駅裏でステーキを食わせる所を知っているから、そこへ行ってみるかとＭさんの提案。まあ、Ｔさんの所がやっていないんじゃしょうがない。しかしもうこの時点でＴさんにまた番組作りをお願いするという話は何処かへ消え去って、食うことにしか関心が無い二人であった。（笑）
駅裏のお店は私も知っている店で単なるファミレスみたいな所であった。ステーキがメニューに有るか、店員に確認して席に着く。程なくしてステーキが運ばれてくる。ご飯や味噌汁も付けてくれるよう頼んだから、総額一人2,033円になる。私としては超リッチな夕食だ。これは心して食べねば。（笑）
ところが食べ始めたがちっとも美味しくない。肉の味がまるっきりしない。更にタレも薄味で美味くない。あーあ、何だこりゃあ。オイラなけなしの大枚はたいておーふたんぎらかしたのに･･･。
Ｍさんも思いは同じだったらしく、食べ終えて店を出てから
「イヤー、あれくらい美味くない牛肉は初めて食べたな。あれだったら他の店で生姜焼き定食でも頼んだ方が、余程美味く、値段も半分以下で収まる」
とあきれ顔。やはり専門店でないと美味しいステーキは食べられないってことですな。お肉にかけては目がない我が家の出入り業者のＵさんに後で
「何で私に声をかけてくれなかったの」
と非難されるのを覚悟していたが、こりゃあ非難されるどころか、
「抜け駆けするから、そういう目に遭うのよ」
と笑われそう。
まあ,貧乏人が見栄を張ってたまに外食するとこんなもんです。やはりコロナ禍のこのご時世、おとなしく家で自炊していた方が良さそうです。それにしても2,033円、勿体なかった～。（いい加減諦めろ）
