すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

手間は掛かるけど

 毎度言っている事だがオーディオは果たして進歩したのだろうか。取り扱いが簡単になっただけで音的にはある面では進歩したかも知れないが、有る面では退歩している感がある。

 

 例えばスピーカーだ。昔は励磁型だったが今では永久磁石になってしまった。これなんぞ音が励磁型が悪かったのではなく、どうしても装置が大掛かりになるし、使い勝手も悪かったからそうなっただけだ。現に音がいいから今でも好きな方は私も含め励磁型を使っている。

 

 同様にレコードも収納場所の問題や割れやすい事、また一枚に収録出来る時間の関係でSPからLPになり、CDに至っている。確かにCDは収録時間は飛躍的に伸び、取り扱いも簡単になり、雑音も出ない事から広まったが、日本の場合CDを作った事でLPを作らなくして強引に移行した点も有る。CDの方が利益率が高いという点も有った。

 

 だから何も音質だけの問題でCDになった訳じゃない。お若い方はCDの音しか聴いた経験がないから、どうもそこの所が分からない方が多い。この間久し振りにSP盤サファイア針で聴いてみた。特に弦楽器がいい。しなやかにそして力強く鳴るのだ。CDなんぞ逆立ちしたってこの音は出ない。

 

 昔の人は何でサファイア針でSP盤を再生していたかがよく分かった。まず音がダイア針よりいいのだ。そして盤を傷めない。私もSP針でもほとんど使っているのは耐久性の高いダイヤ針だが、それだと確かに早く盤は摩耗するようだ。好きなSP盤の片側の曲ばかり聴いていたので、たまには裏側の曲でも聴いてやるかと思い掛けた所、あまりに裏面の録音が良かったのに驚いた事がある。それだけ表面はダイヤ針で削っていた事になる。

 

 斯様に優れたサファイア針でも耐久時間がダイヤのそれに比べて著しく短いため、今では誰も使わなくなってしまった。これなんぞも音質よりも便利さを優先したのであろう。トーンアームもオイルダンプの音は決して悪くないのだがカートリッジ交換と針圧調整が面倒、追従性も良くないということで今では大半がパイプ・アームになっているが、こちらも共振などの問題も出て来て決して万能では無いので有る。

 

 最近私はカートリッジに凝っていて掛けるレコードによって色々とカートリッジを替えて楽しんでいる。これなんぞもCDには出来ない楽しみだ。こうなると面倒をするのもオーディオの楽しみだし、今のCDからは得られない音も聴く事が出来るので、非常に面白い。手間は掛かるけど自分の好きな音が得られるのだったらそれもまた良きかなである。

 

 幸いサファイア針は亡きN君の残した物が沢山有るので、こうなったらダイヤ針なんぞ使わないでサファイア針一本槍で行こうかなと思っている次第である。ともあれ、我々はまだ昔の音の経験が出来た世代なので有り難いと思っている。