Ｏさんは70歳を超えているがパソコンが好きだ。まあ、どの程度使いこなしておられるか怪しいが、頭の老化防止にはいいと思っている。そして何か不具合が起きると私に直してくれるよう依頼してくる。今日も今日とて印刷できないというので、尋ねてみたらプリンターの電源が入らないという。私がコンセントにちゃんと繋がっているかと尋ねても、どうも返事が曖昧なので出かけてみた。訪問してみるとやはりコンセントに繋がっていなかった。Ｏさんは元々電気技師だったのにどうした事か？奥さんが仰るには最近少しぼけ気味で、最近の事はすぐ忘れるという。とにかく電源が入ったので帰宅したらまた電話が入り、まだ印刷できないという。そこで再び伺ったら何と印刷手順をすっかり忘れてしまっていたのだ。葉書をプリンターに入れただけで印刷が始まる物と錯覚していたらしい。私が手順を示して説明すると、ああそうだった、と納得されたが、私は少し心配だった。また忘れてしまうのではないかと。この分だとＯさんに教えるより奥様に教えた方が良いかも知れない。しかしそれでは益々Ｏさんのぼけが進んでしまうだろう。私の父も晩年には呆けたが80歳を超えてからだった。Ｏさんにはまだまだ呆けないでいて欲しいと切に願っている。
それはともかくパソコンは指や頭を使うから呆けにくいと思っていた。それがＯさんを見ているとそうでもないように思えてくる。思うにいくらパソコンを毎日使っていても、ただインターネットを見ているだけのような使い方ではダメなのかも知れない。新しい刺激が無いのだ。ファイルを作ったり、他の人たちと交信したりしなければいけないのだろう。また家の中ばかりに閉じこもっていては、やはりダメだろう。外に出て色んな人たちの顔や景色を見なければならない。特定の人達ばかりと交遊しない事だ。Ｏさんを見て私も10年後、20年後（生きているかどうかわからないが・・・）に呆けないように心がけたいと思った。Ｏさん、今からでも改善できるから積極的に外に出てね。
