すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

インコの思い出(長いよ、眠らないようにね)

 昨日も書いたが20年程前我が家ではインコを飼っていた。一羽は近所から貰われてきたダルマインコでもう二羽はつがいのセキセイインコだ。セキセイの雄の方は何処かから逃げてきたのを捕まえた物だった。ところが類は友を呼ぶというか、そのうちもう一羽逃げてきたのを手に入れた。運良くこれは雌だった。最初は余り仲が良くなかったようだが、一緒にいれば情が移るのか、やがて雌殿はご懐妊あそばされた。二世の誕生を今か今かと待ちわびたが、卵は孵らず。どうやら無精卵だったようだ。雌殿は産後の肥立ちが悪く、徐々に弱って行き天国へ召された。暫くは雄一羽で過ごしていたが寂しそうだったので私が小鳥屋へ行き、後添えを見つけてやった。するとこの後家さんもめでたく懐妊の運びとなった。こんどこそと期待する家族の期待とは裏腹にまたもやこの女房殿も身罷られた。私たちは呆れ果て、「このカカア殺しめ」と罵った。だがこの種なし婿殿にも取り柄があって物まねが上手かった。世話をする父が呼びかける言葉を覚えたらしい。人が側にいないと何やら口まねを始める。それが可愛くてこの嫁殺しを飼っていた。だがこのインコも或る日を境に衰弱して行き、女房共が待つあの世へ旅立って行った。亡骸は父が手厚く葬った。
 さてダルマインコの方であるがこれは中々大きい鳥でセキセイの何倍も大きい。従って鳴き声もけたたましい。餌をやる時たまに噛み付くがこれが結構痛い。父などは噛まれると「餌をやる者に噛み付くとはとんでもない奴だ。」と怒っていた。だが此奴もセキセイと同じく物まねするという特技があった。大体がダルマの奴は鳴き声その物も喋っている調子に聞こえる。「エサガネー!エサガネー!マッタクー!」と言ってるように聞こえるのだ。しかし本当に物まねする時は声のトーンががらりと変わって低い声になる。「チービちゃん、オハヨ!ダンマちゃん、オハヨ!」(ダンマちゃんとは自分の事を指している。そもそもこれは死んセキセイの雄の台詞だった。)かなり色んな言葉を喋ったが残念ながら今ではその他は思い出せない。我が家ではこれを玄関の下駄箱の上に置いていたので、お客さんが戸を開けて入って来ると例の「エサガネー!」で驚かすのである。これはもはや番犬ならぬ番鳥だ。
 さて父の死後、この鳥の面倒は私が見る事になった。しかし私は仕事で超多忙の身。また日中は家にいる事が少ないため、引き取り手を探した。そうすると我が家の常連客Kさんもボタンインコを飼っていたので、引き取っても良いとの返事。有難や、ダルマ嬢はK家へ輿入れした。しかし、程なく「うるさくて受験勉強の妨げになる」とのことで何と我が家へ返された。以来、ダルマのあだ名は「出戻り」となった。もう嫁入り先は見つからず、しょうがないから私が世話をしていたが、ある寒い日に体調を崩してから帰らぬ鳥となった。朝早くからけたたましく鳴き、私を手こずらせた奴だったが、亡くなられてみると妙に寂しい。どんなに小さい生き物でも先に死なれるのは悲しい。私は「出戻り」の亡骸を手厚く葬った。以来、今日まで私はペットを飼う気になれないでいる。