お散歩クラブの面々で上高地の山、焼岳に登る事になった。ここは日帰り出来るのでお手軽な百名山だ。出発時刻の午前4時を過ぎてもMさんが姿を見せないので電話すると何とまだ寝ていた。
「バカヤロー!寝ているんじゃねえ!」
私は烈火の如く怒り、どやしつけた。普段温厚篤実な私がここまで怒るのは珍しい事なのだ。Kさんは殊勝な顔で現れた。
「すみません。2時半に目を覚ましたんだけど、まだ時間があると思い寝たら寝過ごしてしまった。」
目覚ましが鳴っても寝ていられるのがスゴイ。私なんか神経繊細だからとてもそんなに図太くなれない。それはともかくこういう時に乗じてしっかり貸しを作っておくのだ。Mさんが嘗て私に教えてくれた名言がある。
「笑って誤魔化せ自分の失敗、激しく責めろ他人の失敗」
よって激しく責めておくのだ、ヒヒヒ。
30分遅れでスタートしたが登山口には7時半に着いた。登山口周辺はたくさんの車が駐車していた。皆さん暑い時はやっぱり山へ逃げたがるんですね。
道はいきなり急登だ。更に暑さも加わって大変だが樹林帯に入るので少しは凌げそうだ。だがめぼしい花がほとんど無い。元々余り花のある山ではない上に少し時機を逸しているようだ。樹林帯を脱する頃広場に出た。ここからは焼岳が正面に大きく見える。噴煙を上げているのもわかる。前回登った時はガスで何も見えなかったから、今回はここからの眺望が得られて嬉しい。
右が北峰。左が最高点の有る南峰。なお南峰への登山は禁止されている
間もなく草付きの岩だらけの道となって焼岳も間近に見えるが勾配はきつい。Uさんはまだ元気一杯だがKさんの足取りが重くなってきた。15分ごとに休憩を取る。
漸く北峰と南峰の分岐に出た。後はこの岩壁を左に巻いて頂上までひと登りだ。今日は団体さんも多くここは行列を成している。
硫黄の匂いが強烈に漂ってくる。
頂上直下の岩壁を巻く。岩壁の中程には噴気が出ている所が有る。
頂上直下にはカルデラ湖が有った。
頂上に出た。ここまで3時間。Kさんんは思いの外頑張った。だが雲とガスとで周囲の視界が悪い少しガスが薄くなると、正面の山がうっすらと見える。昨年登った笠ヶ岳だ。その後も昼食を取りながら粘るが、遂に西穂高岳、明神岳、前穂高岳と言った上高地の山は見る事が敵わなかった。下山時に漸く霞沢岳が漸く少し見えた。下界の天気は悪くないのだが、やはり高山の天気はこちらの都合通りには行かぬ。
帰りは2時間ちょい程で下りた。いつもながら下りは誠に楽ですな。釜トンネルからちょっと戻った所に有る坂巻温泉旅館の露天風呂に入る。8年前にも寄った所だがいいお風呂だ。ちょっとした穴場で有る。
8年前にも立ち寄った坂巻温泉旅館。
紅葉の頃は露天風呂に浸かりながら素晴らしい景色が眺められると思う。
日帰りで上高地の山に行けるなんて誠に焼岳は初心者にとって有り難い山で有る。