昼間採って来たキノコの処理をしていると携帯に電話が入った。我が家を建ててくれたＫ工務店の社長さんからで、伺う所に依るとお客さんで我が家の見学会のチラシを持っていた方があって、我家を拝見出来ないかと依頼して来たという。
「え、また？」
と一瞬戸惑ったが、まあ我家は私以外家族はいないので私さえ良ければどうにでもなる。以前述べたようＫ工務店さんの完成見学会は散々お邪魔した訳だから断っては仁義を欠くという物だ。ただ建ててから早2年。生活の臭いという物が出て来ているだろうし、何よりも「男やもめに蛆が湧く、女やもめに花が咲く」の例え通り私は男、毎日綺麗に掃除している訳ではない。で、今日という訳にも行かず、取り敢えず明日の午後と言う事で御願いしたらそれでＯＫとの事。
とまあ引き受けたものの部屋は散らかし放題。何とかせねばならぬ。エライこっちゃ。
「やっぱ引き受けなければ良かったかな？」
と少し後悔したがまあ何とかなるだろう。エー、左の物は右へ、右の物は左へ。面倒臭い、全部押し入れにぶち込めー！ハイ、取り敢えず見えなくなりました。見学に来た方は決して押し入れを開けようなどと言う考えは起こさないように。お次は台所。ここも収納出来る物は全部扉の内側に。オオ、綺麗になった。フフフ、物が無いと何となく片付いているように見えるのう。まあ、2，3日経てば直ぐまた元のようになるのだが。後は適当に掃除機を掛けてお終い。見せて拙い所は案内しないようにしよう。
作戦としてはパパーッと見せて後はなるべく椅子に縛り付けて置く事だ。一カ所に時間を掛けない。後は私の話術で煙に巻こう。
「あー、何となく見たような見ないような・・・・・・」
と後でお客さんが思おうが知ったこっちゃない。こちらは約束が果たせればそれで良いのだ。
ま、しかしこう言った方が定期的にお見えになってくれればうわべだけでも我家はいつも整頓されていて良いのだが生憎そうはならない。お客さんが帰った翌日からはまたバラコクタイ。（散らかった様の柏崎方言）あーあ、鼻でもひくひく動かせばあっという間に片付いてくれればいいんだが・・・・（奥様は魔女のサマンサじゃあるまいし。―――フ、古い！）
