ピンポ〜ン！朝早くからチャイムが鳴ったので誰だろうと思って出てみると、私の嘗ての同業者だったＴさん。これはまたお珍しや。いやそう言えば今年図書館でお会いしたっけ。まあ兎に角入って下さいと我が家に招き入れる。Ｔさんは私よりも10歳ほど年上であったろうか。相変わらずお若く見える。
久しぶりにお会いしたので語る話は嘗ての業界仲間の話。あの人はどうした？元気でやっていますかなどの消息だ。何せ私も仕事を辞めてからお世話になった問屋さんへもちっとも顔を出していないので、さっぱりその筋の情報には疎い。色々伺って何とも言えない懐かしさに襲われた。
さて話が進むうちに亡くなったＫさんがカラオケサークルに入っていましたよねえという話題になった。チャンス到来と思ったのか、Ｔさんやおら
「実はそのことでお願いがあってやって来たんだけど・・・。」
と話を切り出し、おずおずと鞄から何やら出し始める。見るとそれは一枚のＣＤだった。白いスーツを着たＴさんが髪をきちっと七三に分け、男前に写っている写真がジャケットになっている。はは〜ん、成る程ね。実はＴさん、私の知っているカラオケサークルに所属していて、そこで自主制作でオリジナル曲を作りＣＤ化したという訳だ。それを昔の同業者のよしみで買って欲しいと言うことだ。まあ、早く話を切り出せば良い物を、どうも恥ずかしかったのか、言えなかったらしい。
ま、たかが千円。聴く、聴かないは別として近況をお知らせしてくれたお礼として買いましょう。（イヨッ、太っ腹！そして折角持参したんだから我が家の豪華なオーディオシステムで聞かせてやりますか。うん、歌詞はご自分で作られたのか。中々いい線行ってますよ。曲はカラオケサークルの先生が作ったそうな。この人は演歌作るの上手いんだよな。ハイ、これでＴさんも満足したでしょう。え、ナヌ、この近所に住んでいるカラオケ好きな○木さんと○内さんの家を教えろって？まだ売るの？ま、しょうがないか。何せ元が掛かっているからねえ。
それにしてもおかしいと思ったよ。朝早くからＴさんがわざわざ我が家を訪ねてくるなんて。う〜ん、やっぱりコツコツ貯筋体操をサボらなければ良かったかな？
