仕事を辞めてからおよそ8年が経つが、未だに商売をしていた関係で様々な電話が掛かってくる。圧倒的に多いのが「重機有りませんか?」の電話、またはFAXだ。これはもう迷惑以外の何物でも無い。
しかし商売上のお客さんとなると話は別だ。どうも電話帳を見て掛けてくるようなのだが、申し訳ないなと思う。未だにウチがやっていると思って、電話を掛けて下さるのだから。何とかしてやりたいと思ってもこればかりはどうしようも無い。訳を話して他の業者を掃海したりもする。
かれこれ40年も商売をしていたので、それなりに名は知られていたのかも知れない。お客さんに指示されると言うことは有りがたいことで、だから仕事を辞める時は些か葛藤が有ったが、私は独り身、いつまでも続けられる物ではない。
姪っ子の旦那が私の商売を引き継がせてくれと頼んだので、引き継いで貰ったが、結局上手く行かなかった。傍で見ていると余程私の商売がうまみの有る仕事に見えたのだろう。しかしどんな仕事でもうわべだけ見ていては分からないものである。彼は彼が見ている以外の努力を私がしていることなど、露ほども知らなかったのだ。
結果だけを見てあの商売は儲かると思ったら大間違いである。未だにお客さんから電話が有るのは、亡き父と私で築き上げた信用が有るからだと思っている。もうすぐお盆が来るが、この事は彼岸の父に感謝したいと思っている。