オーディオ仲間のＩ先生から電話が有って、最近アキュフェーズのチャンネルデバイダーアンプ（4WAY仕様）を購入してスピーカーを再び3WAYにしたから聞きに来ないかとお誘いを受けた。
一献傾けながら音楽を聴き夕食を摂ろうと誘って戴きました。まあ考えてみたら音楽をゆったりと聴きながら酒を飲むなんて最高の贅沢であると思う。それもいい音で聴けるのだから、こんな有り難い話はない。二つ返事でお引き受けした。
とは言え、最近の人達はみなiPhoneだとかipadやらで音楽を聴くようになって、我々のような大型のオーディオシステムで音楽を聴くものは滅多にいなくなってしまった。しかしあんな小さな携帯音楽プレイヤーで演奏の本当の凄さ、醍醐味を感じる事が出来るのか？ 演奏者の意図する所を理解出来るのか？ いや、あれでいいのだろう。そもそも聴いている音楽が中身のない軽い音楽ばかりだから、音の善し悪しなんぞどうでもいいのだろう。ただ耳元でカシャカシャと適当にリズムを刻んでくれればいいのだ。
聴く道具がチンケになれば聴き方もいい加減になり、聴いている音楽も中身のない薄っぺらな音楽となる。これぞ音楽文化の後退だ。まあ最近は流行歌といえどもいい歌が無くなったもんね。いくら聴く道具が簡便になったとて聴く音楽まで軽くならなくて良さそうなものだが、どっこい先ほども言ったように聴く者の聴き方によって音楽ソースを提供する側もそれに合わせて堕落するのだ。だから良い曲、良い演奏が出来てこない。
オーディオは今やジジイの道楽となってしまった感が有るが、考えてみたら我々は音楽文化の爛熟期にいて、一番良い思いをした事になる。音に関してもそうだ。あのオーディオ文化真っ只中にいた訳だから、音の感性は否が応にも研ぎ澄まされる。なまじ耳が良くなるともっと良い器機が欲しくなるのは困りものだが。(笑）
だから今の人は音楽についてほとんど語れないではないか。単に今流行っている歌、好きな歌手程度の話しか出来ない人は少なくない。昔はテレビでもラジオでも世界の色んな音楽を紹介したものだが、最近はそう言う番組はとんと無くなった。益々音楽文化後退に拍車を掛ける。
まあ、それも時代の流れと思って最近は諦めている。それより我々ジジイはいい時代に生きたのうと喜ぶ事にしている。オーディオは確かに今やジジイの趣味だが、いい趣味が持てた時代に感謝しよう。
