すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

わさび好き

 亡くなった父の好物は山葵で有った。食べ物の好き嫌いは余り無かった父だが、香辛料は無類の山葵好きで、他の唐辛子だとか、ショウガなんかは余り見向きもしなかった。とにかく何でも山葵に付けて食べるのである。

 

 チューブ入りの山葵が発売されると簡便なためか、尚更山葵好きの度合いが酷くなる。チューブから絞り出した山葵をちょいと醤油を垂らしただけで、碌に溶かさないのである。そうして刺身などを口に運び、思わず自分の鼻を押さえ、眉間にしわを寄せ、「ハァ~ッ!」と叫ぶのだ。父にとっては鼻へツーンと抜ける刺激が何とも堪らないらしく、思わず「山葵マゾ」じゃねーの?と私などは思うのだった。

 

 だから群馬に住んでいた父の実の弟さんが盆暮れに名物のわさび漬けを送ってくれるともの凄く喜んでいた。

「これ、ホントに味がいいんだよなあ。やはりこちらで作られたものとは違う」

等と言い、抱え込んで一人で食べているような有様だった。

 

 まあ、そうなるとこちらにはほとんど回ってこない訳でありまして。そんな事から私なんかは

「群馬の叔父さん、たまには俺が食べられるような物を送ってくれればいいんだが・・・。」

一人でこぼしていた。と言うのも母や姉もこのわさび漬けが好きで、当然分け前にありついたが、私は辛いばかりのこの食べ物が好きで無かったのである。

 

 そもそも私は子供時代お刺身がどうにも生臭く感じられ、好きで無かったし、(アーラ、勿体なや)その臭みを消すための山葵も好きで無かったのだから最悪だ。だから山葵を使った料理が食卓に出ると、私は食べられないから、母親は私のために別メニューを作らなければならなかった。

 

 しかし食べ物の好みは年齢と共に変わる。あれ程嫌いだったお刺身は今じゃ好物だし、山葵も大好きとなった、山葵園にでも訪れれば必ずお土産に買って帰る程だ。まあ、これがDNAと言うものだろう。

 

 私も山葵が好きになるにつれ、この日本独特の香辛料は特に海外へ出掛けた時に一段と恋しくなる。海外旅行へ行く時は醤油と山葵を持って行く事をお勧めする。(笑)

 

 辛さの中にも甘みがあるのが山葵の特徴だ。東南アジアの香辛料のようにただバカ辛いだけで無いのが良い。山葵をすり下ろした時の風味もいい。まあ、私は父のように何でもかんでも山葵を付けるという事は無いが、山葵を使う度に父を思い出すのである。そうだ、たまには仏壇に山葵をたっぷり利かしたお刺身でも上げてやるベえか。(合掌)